研究課題
本研究は3カ年計画でタイにおける小農部門の商業化の実態と問題点を調査し、農業生態系を踏まえた新しい農法の確立方向を探究することを目的としている。初年度である平成5年度には、8月6日から30日までメンバー全員が参加して現地調査を実施した。タイ側共同研究者とともに、ノンタブリ県、チェンマイ県およびコンケーン県の3カ所で予備調査を実施し、各地域2つずつ合計6つの村落を詳細な質問票調査対象村として選出した。調査村は、ノンタブリ県ではバンブアトン郡のバンブアトン村とバンラッパタナ村、チェンマイ県ではチョムトン郡ソッタエ村およびサンパトン郡タ-ワンピァオ村、コンケーン県ではムアン郡ブララブ村およびパッユン郡カンポーン村である。いずれも水稲栽培に加えて、果樹、野菜、畑作物、畜産などの導入が進み、農業経営が多様化し商業化が進んでいる村落である。一部には農産物加工も見られる。予備調査では地域概況調査や農家のインタビュー調査も実施した。これを踏まえて共同研究者全員で農家質問票を作成した。質問票はタイ側共同研究者の責任において、タイ語に翻訳され、バンコクで印刷された。その後、カセサート大学、チェンマイ大学およびコンケーン大学の協力の下で、6つの村落において農家の質問票調査を実施した。調査戸数は各村落50戸ずつで合計300戸に達した。質問票は年度末に日本へ搬入され、平成6年度に東京農業大学で個別データを集計する計画である。また、現地調査を継続し農家インタビュー調査や地域概況調査を実施して、質問票調査データの解折と合わせて、総合的に課題への接近を図る。