研究課題/領域番号 |
05041044
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
黒田 壽郎 国際大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (90051309)
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研究分担者 |
櫻井 秀子 国際大学, 中東研究所, 講師研究員 (60203345)
ABDUS Samad 国際大学, 中東研究所, 講師研究員 (80212538)
真田 芳憲 中央大学, 法学部, 教授 (50055167)
寺尾 誠 慶應大学, 経済学部, 教授 (30051189)
湯浅 赳男 新潟大学, 経済学部, 教授 (00018095)
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キーワード | シリア / アレッポ / ス-ク / 伝統経済 / イスラーム経済 / 商人 |
研究概要 |
初年度に当たる昨年は、アレッポのス-クの一角にある小さなハーン・ハッジ・ムーサー・アル=アアワジュを対象とし、商人、職人にたいする完全調査を行った。これによりス-ク経済の直接性に基づく「自己組織的」な固有の構造が、ミクロのレヴェルで明確にされた。第二年度に当たる本年は、小ハーン内における商人と職人の関係、ハーンと外部、とりわけそれを含むスワイカ・アリ-との関係を探ると共に、来年度に向けて郊外の製造業の調査をも行った。さらに、ス-経済のマクロのレヴェルの解明を行なうための関連事項の調査をした。事前に伝統経済と深く関連するM・バ-キルッ=サドルのイスラーム経済論、イスラーム哲学、無利子銀行論の翻訳、解説を終えていたため、これまで全く省みられなかったイスラームの経済理論と、伝統経済の実態についての現地調査の結果を照応、関連づける上で大いに役立った。単に中東世界の経済分析のみでなく、文化、社会的位相に関しても、これまで先人が全く行ってこなかった視座からの、極めて重要かつ独創的な成果が期待され得る状況にある。本年は9月に、シリアのゾ-ビ-首相直々の後援を得たアレッポ大学におけるシンポジウムで、これまでの研究成果を発表し大きな成果を上げた。シリア経済の内発的発展の可能性を指摘するもので、経済政策に動揺を示している政府関係者に一定の影響を与え得たようである。なお発表の内容は、一部がすでにアラビア語で公刊されている。帰国後は、これまでの研究の成果公表を行うための理論化の作業を行っている。その結果は、十数世紀にわたり存在し続けてきたが、全く看過されてきた経済システムの本性と意義の解明に大きく貢献することとなるであろう。
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