研究概要 |
中国四川省は陸のプレート同士が衝突するプレート収束帯に位置し,浅発地震活動が極めて活発であり,過去に多くの被害を受けてきた。そのため,四川省地震局ではテレメータによる地震観測点を20点ほど省内に設置し,成都と西昌の2ケ所に集中記録している。しかしながら、その記録方式は旧態依然とした送り速度の遅いペン書きドラム記録であり,震源決定等の基本的処理さえも困難を来しており,地震波形記録を用いたより高度の解析などはとてもできない状態にあった。そこで,パソコンを用いたディジタル波形収録・自動処理システムを現地に設置し,既設のシステムの最大の弱点を強化することができた。このような安価なパソコンを用いた収録・処理システムは,研究代表者らによって初めて開発されたもので,今回はそれを一部改良して現地に導入した。これにより,データ処理速度が飛躍的に向上し,さらに高精度のディジタル波形データが得られるようになった。システムの維持管理は,現地の研究分担者および研究協力者によって行なわれており,現在も順調にディジタル波形データを蓄積中である。 蓄積されたデータ数はまだ少ないが,それでもこれまでに得られたデータを使って地殻構造を調べた結果,この地域下の地殻が極めて厚いことが確かめられた。来年度以降は,多量に蓄積されるであろうディジタル波形データを用いて,この地域下の地震学的構造を詳細に調査する予定である。それにより,海のプレートと陸のプレートとが衝突している東北日本と比較検討が可能となり,プレート収束帯における内陸地震の発生機構の理解が深まるものと期待される。
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