研究課題
この研究は、STEP国際協同研究計画の研究領域「熱圏・電離圏結合系のエネルギーと力学」を分担し、磁気赤道をはさんで地磁気緯度±15度付近の帯状域に現れる電離圏F領域赤道異常の微細構造とダイナミックスを、F領域電子の再結合反応の際に発揮する酸素原子630ナノメートル輝線の夜間大気光強度の全天分布を測定することによって研究し、電子密度分布に現れる南北方向の縞構造の発生原因を究明することを目的としている。赤道異常の北側帯にあたるハワイマウイ島ハレアカラ山頂にあるハワイ大学の観測所と、南側帯にあたるインドネシアのジャワ島東部のワトゥコセッにあるインドネシア航空宇宙庁大気研究開発センターの観測所の二箇所で観測を実施している。本年度は、ハレアカラ山頂においては、高速全天測光器を用いて、酸素原子の630ナノメートル輝線と557.7ナノメートル輝線および水酸分子回転線の全天強度分布を、また電子撮像式ファブリ・ペロ-干渉計を用いて酸素原子630ナノメートル輝線のドップラ幅とドップラ偏位の天空分布を、約3週間にわたり測定した。ワトゥコセッにおいては、東西方向掃天型測光器を用いて、酸素原子の630ナノメートル輝線と水酸分子回転線の天空強度分布を測定した。ワトゥコセッにおける観測は本年度は主に現地技術者に依頼して行うことにしたが、天候状況や測定器の不具合により有効な測定データはほとんど得られなかった。得られた観測データを分析して、電離圏F領域電子密度の水平微細構造および酸素原子中性大気の温度と風系を求めることが可能であり、現在データ解析が進行しているが、昨年度得られた結果の一部は論文にして投稿中である。
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