研究分担者 |
BART Bautist フィリピン火山地震研究所, 地震研究部, 主任
RAYMUND Puno フィリピン火山地震研究所, 所長
尾池 和夫 京都大学, 理学部, 教授 (40027248)
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40171722)
西上 欽也 京都大学, 防災研究所, 助手 (00189276)
大倉 敬宏 京都大学, 総合人間学部, 助手 (40233077)
渋谷 拓郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (70187417)
伊藤 潔 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80022721)
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研究概要 |
フィリピン・ルソン島のタール火山は,爆発的な噴火をする火山として世界的に知られている。1991年ピナツボ火山大噴火直前に,タール火山の地震活動が活発となり,フィリピン火山地震研究所からの要請で京大防災研究所より地震観測チームが派遣された。これを契機に本研究が企画された。本年度の課題は,〔1〕タール火山外輪山のタガイタイ観測所に設置されたSTS地震観測システムの保守・管理と時刻精度の改善,および収録データの解析,〔2〕タール火山下の地下構造の人工震源を用いた研究。 課題1:タガイタイ観測所で収録された遠震のP波形の,レシーバー関数解析を行い,地下60Kmまでの構造を求めた。この結果,20Km以深に低速度層が存在することが明きらかとなり,タール火山の深部マグマ供給源として注目される。さらに入射方向の異なるデータを増やし,モデルの信頼性を高める予定である。 課題2:タール火山南岸に人工震源,北側半分に観測点26点を置き,地下構造の探査を実施した。人工震源は,60m深のボーリング孔内に,300Kgの火薬を装愼し,爆破させ地震波を収録した。波形は2点を除きすべての観測点でディジタル収録ができた。この中で,中心部を通り抜けた波形は,走時で1秒の遅れと,初動が極めて不鮮明なものであり,マグマ溜りの存在が示唆された。前年度の発破観測結果と併せて解析を行い,(1)マグマ溜りと思われる減衰体が,中心部に直径4Kmで分布する。深さに関する分解能は今のところない。(2)深さ10Km付近に反射面が中心部に存在する。これは,溶融体の上面の可能性があり,課題1の低速度のさらに上部に位置するマグマ溜りの可能性もある。マグマ溜りが,深さの異なる何つかの溶融体から成るものと思われ,この点が解明された意義は大きい。
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