研究課題/領域番号 |
05041088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小山 直樹 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (40027496)
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研究分担者 |
正高 信男 東京大学, 理学部, 助手 (60192746)
長谷川 真理子 専修大学, 法学部, 助教授 (00164830)
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キーワード | ワオキツネザル / ベロ-シファカ / 出生時期 / 採食 / 音声コミュニケーション / 社会関係 / 群れの分裂 / 社会構造 |
研究概要 |
「マダガスカルにおける昼行性原猿類の社会生態学的研究」 長谷川と斉藤は、ベロ-シファカを対象に赤ん坊の出生時期、発達、食物品目、活動性などを調べるとともに、生息地の植生調査をおこなった。その結果、出産はワオキツネザルより2ヵ月早い6月下旬から始まり7月中にはほぼ終わること、発達のスピードが遅いこと、植物20種21品目が主食であること、採食に35-40%の時間を費やすことなどが明かになった。正高は、ワオキツネザルの雄にのみ特異的に出される音声発声を録音・分析し、高順位雄ほどより頻繁に発声すること、そして他の集団の成員から相対的に長い個体間距離を置き、かつ休息にはいる直前に、この音声が最も頻繁に出されることを明らかにした。小田は、ワオキツネザルの音声コミュニケーションの中のコンタクトコールといわれる音声の、機能や特徴について調査した。各個体の近接関係を、音声交換のパターンと比較すると、近接関係にない個体同士でよく音声交換を行う傾向があり、空間的な近接を補うかたちで音声が機能し、集団の統合が保たれていることが示唆された。現地参加のラコトティアナ・リスは、ワオキツネザルT群(分裂後T1群)を対象に、親和的行動である毛づくろいと休息時の接触回数、敵対的行動である場所とりの回数をはかり、個体間でとり行われる社会関係を調べた。毛づくろいや接触は雌間で多く観察され、場所とりなどの攻撃行動は、雌(特の高順位の雌)から雄(特に新参の雄)に向けられることが多いことがわかった。小山は、ワオキツネザルT群の分裂過程を観察するとともに、分裂後のT2群を追跡調査した。群れの分裂は、大人雌間の敵対的関係が起因しており、大人雌の数が多くなるとその一部が群れから追い出されることがわかった。このような追い出しや群れ分裂によって、一群れの大人雌の数は10頭以下に制限され、群れサイズがほぼ一定の大きさに保たれるような社会構造をもつことが明らかになった。
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