研究分担者 |
フラード M.H. グアヤキル大学, 医学部, 教授
ラッソー S. R.F. グアヤキル大学, 医学部, 教授
ルンベア G. J. グアヤキル大学, 医学部, 教授
ゴメス E.A. カトリカ大学, 医学部, 教授
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
片倉 賢 慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10130155)
三森 龍之 熊本大学, 医学部, 助教授 (00117384)
江下 優樹 久留米大学, 医学部, 講師 (10082223)
細川 篤 琉球大学, 医学部, 講師 (10181497)
古谷 正人 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00035437)
野中 薫雄 琉球大学, 医学部, 教授 (10039571)
LAZO S. Ramon f Universited de Guayaquil.Facultad de Ciencias Medicas, Professor
GUZMAN Jose rumbea Universitad de Guayaquil Facultad de Ciencias Medicas, Professor
GOMEZ L. Eduardo a Universitad de Catolica Sentiago de Guayaquil, Facultad de Medicina, Professor
JURADO S. Miguel h Universited de Guayaquil, Facultad de Ciencias Medicas, Professor
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研究概要 |
本年度はエクアドル共和国の各流行地に分布する原虫種の同定ならびに皮膚リーシュマニア症患者の治療経過を中心に検討し,併せて室内実験を行い,以下の成績を得た. 1.エクアドル共和国における分離原虫株をELISA法によって解析した.現在までに同国で分離された115原虫株を9種類のモノクローナル抗体を用いて種の同定を試みたところ,66株がL.panamensis,18株がL.mexicana,8株がL.major-like,4株がL.braziliensis,2株はL.equatorensisと同定され,残る17株は種の同定ができなかった. 2.抗マラリア剤のメファキンならびにプラスモトリムを用いて皮膚リーシュマニア症患者の治療を行ったところ,両剤の経口投与による治癒率はいずれも100%であり,患者の大半が2〜4週以内に治癒した.この成績は従来のアンチモン剤の筋注による成績に比較すると,極めて勝れており,副作用も殆どないこと、経口投与できること等の点で,リーシュマニア症治療薬として有望である.今後,内臓型リーシュマニア症その他の病型に対する効果判定が必要である. 種々の条件下で実験感染動物におけるメファキンの効果を検討したところ,ヒトの場合とは異なる成績が得られた.これは動物とヒトでの薬物動態の差異によるものと考えられ,今後の興味ある検討課題である.この実験成績は皮膚型,内臓型リーシュマニア症を問わず,同じ傾向であった.すなわち,L.donovani原虫をマウスに感染させ,1週間後に肝臓内増殖原虫を確認した後、220μg/g量のメファキンを用いて治療実験を試みた.薬剤の投与方法は1回,連続3回2週間,連続3回3週間の経口投与とした.その結果,いずれも場合も最終投与1週間目の肝臓内原虫数は対照群と同程度であった.このことから動物実験におけるリーシュマニア症に対するメファキンの効果は期待できないものと推察された. 今後,マウス以外の動物を用いて検討も必要である. 治療経過中にリーシュマニア症患者の皮膚生検を実施し、病理組織学的電顕病理学的検討を試みたところ,感染マクロファージ内の虫体像や宿主細胞の形態的変化が認められ,興味ある知見として注目された. エクアドル共和国で分離されたL.amazonensisの薬剤耐性におけるP-糖タンパク質の役割を明らかにする目的で,同遺伝子を単離し,その全塩基配列を決定した.この塩基配列から推定される1267アミノ酸配列は,リーシュマニアの既知のP-糖タンパク質遺伝子と47%以下のアミノ酸ホモロジーを示した.このことは今回,エクアドル産の原虫から分離された遺伝子は,リーシュマニアの新しいP-糖タンパク質遺伝子である可能性を示唆している.
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