研究課題
国際学術研究
ケニア国、マダガスカル国及びザンジバル(タンザニア国)の3カ国における調査・研究の実績と成果は次の通りである。1.ケニア国;カカメガ^1、キスム^2、ナク-ル^3、ナイバシャ^4、カル-ラ^5、アバデア^6及びクワレ^7が主な調査地域であった。カカメガ、キスム地域においては、次の植物種について樹皮、根部、葉部を資料として採集し、またそれぞれの〓葉標本を作製した。なお、その中の一部については、制ガン活性に関する一次活性スクリーニングテストを行った。これらのうち、Cassipourea rotundifoliaとEkebergia capensisの樹皮からそれぞれ2種の新規の化合物を単離し、構造決定を行った。すなわち、前者のヒルギ科植物からは含イオウアルカロイドを、後者のセンダン科植物からは鎖状トリテルペノイドを単離・確認した。さらにこれらの化合物について抗発ガンプロモーター作用の指標となるEB-V活性化抑制試験を行った結果、いずれも強い活性が認められた。また、Phytolacca dodecandraの葉部について、抗腫瘍免疫活性の指標となり得るマイトジェン活性を検討したところ、ヒト及びマウスリンパ球の両方に対し活性を示した。2.マダガスカル国;前回(平成2年度)の予備調査で、あらかじめ検索を行ったMacarisia pyramidata(ヒルギ科)の樹皮をフォールポイント地域で再度多量に採集した。この資料についても含有成分とその生理活性について試験を行った。すなわち、この植物の樹皮からフラボノイド類7種を単離し、これらの化合物についてヒト胃ガン培養細胞HGC 27株を用いた増殖抑制効果を検討した。その結果、試験が可能であった5種の化合物全てにおいて、濃度依存的に増殖を抑制することがわかった。3.タンザニア国;タンザニアの調査は、調査許可と調査期間の関係からザンジバルを調査地域として行った。特にジョザニ・フォーレスト及びその周辺において調査を行い、次の薬用植物を収集した。これらザンジバルで収集した資料については、ガン抑制作用を指標とした活性試験は行っていない。まとめ;今年度の調査において、調査地域及び収集植物種は極く限定されているものの、ガン抑制活性に関する一次スクリーニングを行った結果は、今後さらにin vivoを含めた高次スクリーニングを行う必要のものが見出された。したがって、現地調査をさらに深め、資料数を増加して制ガン物質の探索を徹底する必要があると考える。
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