日韓乳幼児における母子相互作用の比較文化的研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044010
• 研究機関: 国際基督教大学
• 研究代表者: 藤永 保 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60017126)
• 研究分担者: 崔 敬淑 成均館大学校, 児童学科, 教授 ; 李 昌雨 成均館大学校, 産業心理学科, 教授 ; 根ヶ山 光一 武庫川女子大学, 家政学部, 助教授 (00112003) ; 内藤 俊史 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (10118979) ; 荘厳 舜哉 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (10121732) ; 糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962) ; 古澤 頼雄 東京女子大学, 文学部, 教授 (00060632) ; 柏木 恵子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10086324)
• キーワード: 日韓比較研究 / 母子相互作用 / 行動観察 / フォローアップスタディ / 質問紙調査 / 家族関係 / 家族意識 / 養育態度

研究概要

研究は大きく3つの領域において行われた。主体は、母子相互作用の実験的観察とその日韓比較にあり、第2はその裏付けとなる質問紙調査資料の日韓比較である。また、第3にそれらの背景をなす日韓の家族制度・家族関係・家族意識などについての既存資料の収集と分析である。
第1の5歳児と母親との相互作用の観察は長期縦断研究の実施を目標としたが、韓国心理学では行動観察という技法は不慣れであるために実施法の調整に手間どり、最終的には「社団法人韓国児童育英会」の建物の一室を観察室に利用することにし、併設の幼稚園と近隣幼稚園の協力をえて5歳児母子の観察を行うことが可能になった。3月初旬より実際の観察が開始され、4月中に約130組の観察が終了する予定である。同一の被験者群について、6歳の時点で再度のフォローアップが行われる予定である。これに対応する日本側観察は、すでに実施されている。
第2の質問紙調査に関しては、1)「人間関係に対する価値観」2)「親の養育行動」3)「母親の感情表出とコミュニケーション行動」の3種類を日本人学生及び幼稚園児父母について実施し、また韓国語に翻訳した。その後、1)については成均館大学、梨花女子大学、延世大学の学生についてすでに実施し現在集計中である。「親の養育行動」「母親の感情表出」に関しては、行動観察に参加する被験者が在園する幼稚園で行う予定のため、現在準備中である。なお翻訳ずみ質問紙のバックトランスレーションも行い、その信頼性も確めている。
第3の資料収集については、現在日韓両国で対応するたとえば人口動態などの官庁統計資料や韓国における文化人類学的調査資料などの収集を終っている。

研究成果

• [文献書誌] 荘厳舜哉: "The influence of Japanese mothers' styles of emotional expression on thirteen-month-old infants' reaction to a stranger." Early Development and Parenting. 2. 19-28 (1993)
• [文献書誌] 荘厳舜哉: "The development of emotion requlation ability between the age of 13 and 18 months in Japanese infants during the strange Situation as a function of mothers' styles of emotion expression" Journal of Ethology. 11. 1-10 (1993)
• [文献書誌] 根ヶ山光一: "Weaning in Japan:A longitudinal study of mother and child behaviors during milk-and solid-feeding." Early Development and Parenting. 2. 29-37 (1993)
• [文献書誌] 藤永保: "初期記憶の研究II" 発達研究. 9. 1-12 (1993)
• [文献書誌] 古澤頼雄: "児童・生徒の発達における心身相関に関する研究" 群馬大学教育学部紀要. 42. 365-384 (1993)
• [文献書誌] 柏木恵子: "父親の発達心理学" 川島書店, 426 (1993)
• [文献書誌] 荘厳舜哉: "人間行動学・心理人類学への道" 福村出版, 256 (1994)