日韓乳幼児における母子相互作用の比較文化的研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044010
• 研究機関: 国際基督教大学
• 研究代表者: 藤永 保 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60017126)
• 研究分担者: 李 貞煥 梨花女子大学校, 幼児教育学科, 教授 ; YOON Gene 延生大学校, 心理学科, 教授 ; KIM Taelyon 梨花女子大学校, 師範大学, 教授 ; 崔 敬淑 戎均館大学校, 児童学科, 教授 ; 李 昌雨 戎均館大学校, 産業心理学科, 教授 ; 根ヶ山 光一 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00112003) ; 内藤 俊史 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (10118979) ; 荘厳 舜哉 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (10121732) ; 糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962) ; 古沢 頼雄 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00060632) ; 柏木 恵子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10086324)
• キーワード: 日韓比較研究 / 母子相互作用 / 行動観察 / 質問紙調査 / フォローアップスタディ / 人間関係 / 養育態度 / 比較分化的研究

研究概要

研究は大きく3つの領域に分れている.主体は母子相互作用の実験的観察と日韓比較にあるが、その裏づけとしての質問紙調査が第2の領域をなす.第3は、それらの背景をなす日韓の家族制度・家族関係・家族意識などについての既存資料の収集と分析である。
第1の5歳児と母親の相互作用の観察は長期縦断研究の出発点として韓国5歳児の母子約120組の実験的観察が、3月から5月にかけて行なわれた。これらの資料の検討とコーディングは、相互作用が韓国語によって行われているために韓国の心理学専攻大学院生の協力によって資料の検討・コーディン・分析が行なわれた。その成果の一部については、すでに日本性感心理学会において、荘厳による発表が行われている。同一被験者について6歳児時点でのフォローアップも、2月からすでに着手され、継続して研究が行われている。
第2の質問紙調査に関しては、1)「人間関係に対する価値観」、2)「親の養育行動、3)母親の感情表出とコミュニケーション行動」の3種を行なった。1)は、日韓の大学生、幼稚園児の父母に加えて、イギリスの大学生、中国の大学生・父母についても調査が完了し、その集計分析を行っている。アメリカの大学生及び父母についても実施中である。2)3)については実験的観察の対象となった幼児と母親、及び一般幼稚園児の母親についての調査が日韓両国において完了し、その集計分析を行なっている。
第3の資料収集については、藤永が5月の訪韓の際韓国の家族研究の専門家3人に面接してさまざまな示唆を受け、またその後も韓国大学院性のインフォーマントを通じて韓国の近年の資料の収集と翻訳などを行ない、さらにより体系的な資料の収集と、日韓比較研究の枠組作りの準備を進めているところである。

研究成果

• [文献書誌] 藤永,保: "初期記憶の研究(3)-性差について-" 発達研究. 10. 1-6 (1994)
• [文献書誌] 柏木 恵子,岡崎 奈美子: "これからの女性の生き方についての発達的考察-既婚女性を中心に考える-" 発達研究. 10. 73-87 (1994)
• [文献書誌] 柏木 恵子,若松 素子: "「親となること」による発達" 発達研究. 10. 83-98 (1994)
• [文献書誌] 藤永 保: "発達心理学のパラダイム" 発達心理学研究. 5. 165-166 (1994)
• [文献書誌] 荘厳 舜哉: "文化と社会的行動を総合するための発達心理学研究のパラダイム" 発達心理学研究. 5. 167-168 (1994)
• [文献書誌] 藤永 保: "発達環境学へのいざない" 新曜社, 277 (1995)
• [文献書誌] 藤永 保(共編著): "講座 幼児の生活と教育1〜5" 岩波書店, 1500 (1994)
• [文献書誌] 荘厳 舜哉(共著): "子別れの心理学 第12章「子別れ現象と社会経済環境」" 福村出版, 195〜217 (1995)
• [文献書誌] 根ヶ山 光一(共著): "子別れの心理学 第1章「子育てと子別れ」" 福村出版, 12〜30 (1995)