研究課題/領域番号 |
05044014
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 二郎 北海道大学, 法学部, 教授 (70143352)
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研究分担者 |
アンソニー マグル オープン, ユニヴァシティ, 講師
デヴィッド ヘルド オープン, ユニヴァシティ, 教授
川崎 修 北海道大学, 法学部, 教授 (80143353)
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キーワード | 民主主義 / 国際化 / 政策決定 |
研究概要 |
本年度は先進民主主義国の政策決定に対する国際化の影響に関する事例研究が作業の中心となった。とくに財政金融の分野について日本の事例を検討し従来の政策決定過程との比較を行った。その結果、日本において国家の自律性がもっとも貫徹し、典型的な内政事項と考えられていた租税政策についても、国際化の浸透がきわめて顕著であることが明らかとなった。即ち、内需の拡大消費の刺激のために所得減税を行うことが国際的世論となり、大蔵省もこれに従わざるをえないという結果となった。そこに新しい政策決定のパターンを見出すことができる。 また,金融政策についても、日本において国際的規格、基準を共有することが市場の活性化にとって不可欠だという認識が政府に浸透したということができる。市場の透明化という前提を受け入れることが、経済・金融政策を規定することとなった。 日英比較の副産物として、政党政治レベルにおける社会民主主義政党の政策への国際化の浸透についてきわめて共通した変化を発見することができた。 ボーダーレス・エコノミーの進展の中、従来の一国単位の社会路線が限界に直面していることが社民政党自身によって自覚されるようになった。それに対応して民間経済の活性化と社会的公正の共存など新しい課題が提示され、そのことが社民政党の内部で大きな変動をもたらしている。 国家主権と民主主議論の関連については、事例研究に基づいて概念の再構成が試みられた。とくに重要な変化は、ボーダーレス・エコノミーという経済の動きは政治から自由ではなく、自由や公正といった一見普遍的なシンボルを具体的に定義する作業、著作権など新しい分野におけるゲームのルールを規定する過程に権力が発揮されるという点である。
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