研究課題
本年度は、無作為抽出企業の調査を実施し、その回収をおこなった。協力企業数は平成7年3月末時点で14社に達している。優良企業32社と合わせてこの研究では総計46社のデータを回収した。これらはすべてデータ・ベース化し、他国に対して配付した。他国からのデータは米国の第1次調査とイタリアのデータを入手しているが、日本のデータとすべて整合的なのはイタリアのデータである。英国とドイツ、そして米国の第2次調査のデータはまだ入手していない。調査回収が現在まだ進行中である。研究については、日本の企業について主に行った。成果としては、優良製造企業の経営特性として「連動性」という概念で記述できる明瞭な経営特性を把握、抽出することができた。その意味合いは、組織の計画的行動を実現するための仕組みである。経営は作り上げるもので、放置して出来上がるものでないこと、その構築にあたっては、絶え間なく、高い目標を計画的に追求する経営努力が前提になる。いわゆる現場の強さが日本の製造企業の強さといわれてきたが、本研究では、ジャストインタイム・システムとか現場だけでなく、トップの戦略策定、開発業務、現業という流れが連動しているところに優れた経営特性があることがわかった。このような連動経営は新たな方向に対していち早く対応でき、しかも学習力を高める特徴において優れている。得られた経営特性について、実際の経営担当者と討議を同時に行い、現実の経営から判断した場合の妥当性や意味合いを確保する努力も続けてきた。実務家からの抽出した経営特性についての評価は一様にと高く、その妥当性についても支持を得ている。この連動特性を基礎に他国の企業と比較し、より一般的な特性として構造化することは次なる研究課題である。
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