研究分担者 |
アルト ヌルミコ ブラウン大学, 物理学科 (アメリカ), 教授
アンドレ ミジロヴィッツ フランス高等工科大学, 応用光学研究所, 研究部長
南 不二雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (30200083)
吉田 幸司 北海道大学, 電子科学研究所・学振, 特別研究員
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研究概要 |
1層厚の薄いZnSe/ZnS超格子を対照にして,通常の光第2高調波(SHG)が発生しえない偏光を用いて,量子閉じ込め励起子の2光子共鳴により強いSHG光が前方方向に発生する現象を新たに見い出した。この現象は1S並びに2P励起子の双方で,しかも同程度に生ずること,並びにその強度は有効SHG定数に換算して許容SHG定数より1桁小さい程度であることを明らかにした。北大とフランスで協力してこの新しい現象の詳しい側面を調べると共に,その微視的起源の解明を進めている。なお,この現象は下地のGaAs結晶を除去せずに観測できるため,II-VI化合物超格子の励起子構造並びに問題の量子閉じ込め束縛エネルギーを導出する優れた分光方法となることが予想される。2.同じくII-VI量子閉じ込め系で,光学フォノンによる2光子励起子共鳴のハイパーラマン散乱現象を初めて観測した。これも全く新しい非線形光学現象であり,現在詳しく調べている。3.ZnSe/ZnSSe系の量子閉じ込め励起子による自由誘導減衰現象を新しい方法,即ち,超短光パルスのブリュスター反射の時間波形により観測できることを世界で初めて見い出した。全く新しい簡単な現象,方法であり,フォトンエコー法と相補的な知見,即ち,不均一幅に埋れた量子閉じ込め量子構造や位相緩和時間を調べる有力な方法と考えている。フランスのグループと共同で解明を進めている。4.II-VI化合物の量子閉じ込め系では,励起子分子がバルフ結晶の場合よりはるかに安定であると予想されている。この分野の先駆者である,アメリカのヌルミコ教授,フランスのミジロヴィツツ博士と共同で,この励起子分子の存在の検証,並びに異常に大きいと考えられる非線形光学応答の解明を,2光子吸収,2光子ブリュスター反射現象,共鳴ハイパーラマン散乱を駆使して研究を進めている。一部,予備的成果が得られた段階である。
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