研究分担者 |
石田 健一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (40232300)
OSTROVSKII A 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (70243962)
升本 順夫 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (60222436)
久保田 雅久 東海大学, 海洋学部, 教授 (90147124)
和方 吉信 東海大学, 海洋学部, 助教授 (90201871)
金子 新 広島大学, 工学部, 教授 (10038101)
梶原 昌弘 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001604)
杉本 隆成 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40004428)
HE Youhai Academia Sinica, South China Sea Inst., Associate
INESON Sarah Robert Hooke Inst., Clarendon Lab., Senior Sci
MCCREARY Jul Nova Univ., Oceanographic Center, Prof.
GODFREY John CSIRO, Div. of Oceanogr., Senior Sci
HU Dunxin Inst. of Oceanology, Academia Sinica, Vice Direc
ILAHUDE Abdu LIPI, R&D Center for Oceanography, Chief
LUKAS Roger Univ. of Hawaii, Dept. of Oceanography, Prof.
OSTROVSKII Aleksander g. Kyushu Univ., RIAM,Associate Prof.
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研究概要 |
西太平洋低緯度海域の海洋変動は、エル・ニ-ニョ/南方振動(ENSO)や10年スケールの気候変動(IDV)等地球規模の気候変動に極めて大きな影響を与えるにもかかわらず、未知の部分が多い。そこで、この海域の世界海洋観測計画(GOOS)を念願に置いた海洋国際共同研究を活性化することを目的とし、IOC/WESTPACのODC(Ocean Dynamics and Climate)プログラムの一環として発展途上国を含む各国の海洋観測計画の調整、海洋観測データの交換、海洋大循環モデルを用いた共同研究等を推進した。 初年度(平成5年度)には、以下の調査研究を実施した。 1.高解像海洋大循環モデルを用い、ロンボク海峡を通過する流れがインド洋のモンスーン・ブレイク時の赤道ジェット流にブロックされて半年周期の変動をすることを明らかにした。そこでこのジェット流が予測される11月にインドネシア南方海域でドリフタ-を投入し、アルゴス衛星による追跡を開始した。ブイの投入に際しては海洋大循環モデルへの同時期、同海域へのモデルブイ投入結果を参考にした。 2.海洋モデルを駆動するフラックス・データセットの問題点を討議するために英国、米国の共同研究者を訪問し、同時にデータセットの収集を行なった。 3.高解像の海洋大循環モデルにより黒潮の三次元構造の精密なモデリングにはじめて成功し、黒潮流量は大陸棚斜面上の固体地球との相互作用により大きく支配されるという極めて重大な結果を得た。 4.McCreary教授、Lukas教授を招聘し、主として東京大学において西太平洋(インド洋も含めて)の海洋気候変動研究を詳細にレビューした。この結果、海洋気候変動に焦点を絞った新しいタイプの大気海洋結合モデルを開発することにし、インターネットによるリアルタイム研究ネットワークを組織した。また、米国ジェット推進研究所で開催されたJSC/太平洋パネル(D.Halpern議長)では本研究計画の発展形をGCOS/GOOSおよびWCRP/CLIVARの西太平洋域重点研究として位置づける話し合いがもたれた。 平成6年度(最終年度)には、以下の調査研究を行なった。 1.ノバ大学の海洋モデルと比較的簡単な大気モデルあるいは大気大循環モデルを用いた大気海洋結合モデルを開発し、インド洋を含む太平洋熱帯域のモンスーン、大気の季節内振動と海洋気候変動の関連を解釈した。その際、海洋モデルの検討のためMcCreary教授を、また英国の結合モデルとの比較のためIneson博士をそれぞれ招聘し討議した。 2.西太平洋全域の海洋衛星データ、海洋観測データに基づき10年スケールまでの海洋環境変動の解析を行ない、水温変動データからの流速場の統計的な算出方法の改良を行なった。 3.前年度に引き続き、高解像海洋循環モデルを観測気候値で駆動した結果を詳しく解析し、国外の研究分担者(Ilahude、Godfrey、Lukas博士等)のデータと比較検討を行なった。その結果、東部インド洋、南支那海を含む東南アジア海域における水位等の季節変動が観測データと極めて良く一致することが明かとなった。 4.11月にインドネシアのバリ島で行なわれたIOC/WESTPAC科学シンポジウムODC-2セッションにおいて、本研究グループの成果を公表した。また、同時期に国内の研究分担者および国外の研究分担者(Lukas,McCreary,Ineson各博士)等を招いて西太平洋の海洋変動に関するワークショップを開催し、西太平洋の海洋気候変動の研究討論および将来計画の討議を行なった。この会合で発表された研究の一部を、本研究代表者がゲストエディタ-となりJ.Geophys.Res.の特集号として特別に出版することとした。 また、研究代表者は1995年8月IUGG/IAPSO総会(米国、ホノルル)でチーフコンビーナーとして本計画に関連した海洋気候変動のシンポジウムを企画することとなっている。
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