研究分担者 |
SEKI R. カリフォルニア州立大学, 教授
MASON G. Victoria大学, 教授
BEER G. Victoria大学, 教授
SALOMON M. TRIUMF, 研究員
YEN S. TRIUMF, 研究員
OLIN A. TRIUMF, 上級研究員
LEE L. TRIUMF, 研究員
GILL D.R. TRIUMF, 上級研究員
米澤 康滋 筑波情報短期大学, 理学部, 助手 (40248753)
岩崎 雅彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60183745)
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研究概要 |
本年度,我々はK中間子水素原子のX線測定装置の完成にこぎつけ,実際にKEKの陽子シンクロトロンにおいてビームチューニングをはじめとする予備実験を行うことができた。我々が建設した装置は,1)大立体角のSi(Li)検出器60個を低温の水素ガス標的中に封じ,窓なしでK中間子原子のX線測定を可能にする中心標的部と,2)X線をバックグラウンド無しに測定するため,2個の荷電π中間子の放出をタグする円筒型荷電粒子検出部である。日本側は主として1)の中心標的部の建設を,カナダ側は主として2)の円筒型荷電粒子検出部の建設を担当した。カナダ側の研究者は,担当部分の測定装置をカナダから持参し,KEKの陽子シンクロトロンのK3ビームラインにおいて組み立て,ビームテストを行った。 この実験の成功のためには,上記1),2)の双方が所期の性能を発揮することが必須である。日本側が主として担当したX線検出器は,低温水素ガス中で60個のSi(Li)を動作させるという,非常に開発要素の大きな装置であったが,最近のビームテストにおいて,実際にビームが出ている条件のもと,59個を分解能300eVで動かすことに成功し,本実験開始の見通しをつけることが出来た。カナダ側が担当した装置のうち,π中間子識別用の水チェレンコフカウンターは問題なく動作しているものの,円筒型ドリフトチェンバーは再三ワイヤー切れなどのトラブルに見舞われ,安定動作を実現すべく,現在鋭意作業中である。 来年度は全ての装置を動作させ,本実験を開始できる見通しで,順調に行けば来年度のうちには当初の目標通りK中間子水素原子のX線のエネルギーと幅を測定し,低エネルギーでのK中間子--陽子相互作用の知見を得ることが出来る。
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