HERAによる新粒子の探索

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044044
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 山田 作衛 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 教授 (70011658)
• 研究分担者: CASHIMORE Ro オックスフォード大学, 教授 ; SCIULLI Fran コロンビア大学, 教授 ; 永山 省次郎 学振, 特別研究員 ; WOLF Gunter DESY, 主任研究員 ; 喜多村 章一 東京都立大学, 理学部, 助手 (60106599) ; 椎野 二男 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 助手 (20092231) ; 久世 正弘 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 助手 (00225153) ; 徳宿 克夫 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 助手 (80207547) ; 石井 孝信 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 助手 (90134650) ; 浜津 良輔 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20087092) ; 広瀬 立成 東京都立大学, 理学部, 教授 (70087162) ; 奥野 英城 東京大学, 原子核研究所・高エネルギー物理研究部, 助教授 (10013400)
• キーワード: HERA / 深非弾性散乱 / 新粒子 / レプトクォーク / 励起レプトン / ポメロン / クォーク・グル-オンの分布密度

研究概要

・4月から測定器、トリガー系の準備をし7月から11月までHERAのデータ取得を行なった。計600nb-1のデータを集積した。
・このデータを用いて、標準的な深非弾性散乱の解析を行なった。データ量が増したので中性流、荷電流ともにQ2の大きな領域の反応も検出され、その詳細な検討から、新粒子の信号を探索した。
・レプトクオークについては、電子とクオークに崩壊する場合とニュートリノとクオークに崩壊する場合についていろいろなスピン状態を想定した解析を行ない、例えばスカラーの場合95%の信頼度で240GeVまでには存在しないとことを確認した。
・励起レプトンについて、電子とガンマ線に崩壊する場合のほか、質量が大きくW粒子、Z粒子を含む崩壊をするような場合についても探索した。その結果異常な現象は見つからず、230GeVまでの範囲で結合定数の上限が求められた。
・また、深非弾性散乱事象中に、散乱後陽子が破砕されていないものが数%もあることが発見された。これは陽子自身でなく、そのまわりをとりまくπ中間子か仮想粒子ポメロンが電子と反応した事象とも考えられる。モデル計算と実験との比較が進行中である。
・光子と陽子との反応機構も系統的に調べられ始めた。高エネルギーの光子がハドロンと似た振舞をすることが確認された。さらに光子内部のクォークやグル-オンの分布密度を導出する方法を検討中である。

研究成果

• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Initial Study of deep inelastic scattering with ZEUS at HERA" Physics Letters B. 303. 183-197 (1993)
• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Search for leptoquarks with the ZEUS detector" Physics Letters B. 306. 173-186 (1993)
• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Hadronic energy distributions in deep-inelastic electron-proton scattering" Zeitschrift fur Physic C. 59. 231-242 (1993)
• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Observation of events with a large rapidity gap inelastic scattering at HERA" Physics Letters B. 315. 481-493 (1993)
• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Search for excited electrons using the ZEUS detector" Physics Letters B. 316. 207-218 (1993)
• [文献書誌] ZEUS Collaboration M.Derrick et al.: "Measurement of the proton structure function F_2 in ep scatteing at HERA" Physics Letters B. 316. 412-426 (1993)