研究概要 |
LiBH4,NaBH4,KBH4の分子構造を、H/Dの同位体効果を含めて決定した。またLiBH4のBH4グループの縮重ロッキング振動第1励起状態の回転スペクトルに見出された異常を、このグループの大振幅内部運動によって説明することに成功した。当初計画したMBF4系、MNO系、MCO系の分子の回転スペクトルは現在までのところまだ観測にとりかかっていない。NaOHについて、分子構造上より詳細な情報をえるために双極子モーメントを決定した。また生体関連分子の中でももっとも重要なものの一つであるグリシンを取上げ、二つの回転異性体について、同位体の回転スペクトルを観測し分子構造を決定した。このデータはこの分子の関与する水素結合の追究に重要なものである。さらに今回新しくLiF・NaFというユニークな二量体を取上げ、その回転スペクトルを観測し、分子構造、核四極子結合定数、双極子モーメントを決定した。理論的研究では、メタノールダイマーのK≠0状態に対する理論を定式化し、K=1のA対称準位のスペクトル解析を行った。一方、Na3を新たに取上げ、B電子状態における擬回転に対し、ポテンシャル障壁が高い場合のエネルギー表現を群論によって誘導した。またそれを具体的に計算するプログラムを完成した。振動回転相互作用に対してすでに確立されている通常の理論を二量体の内部運動へ応用し、この運動を一般的に論じた。
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