研究課題/領域番号 |
05044051
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松木 征史 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50037941)
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研究分担者 |
PINARD J. エミコトン研究所 (フランス), 上級研究員
DUONG H.T. エミコトン研究所 (フランス), 上級研究員
稲村 卓 理化学研究所, 安全監理室, 室長 (30087390)
村山 利幸 東京商船大学, 物理学科, 助教授 (50200308)
藪崎 努 京都大学, 理学部, 教授 (60026127)
藤岡 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (70016111)
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キーワード | 超微細異常 / 不安定核構造 / 原子ビーム / レーザー・マイクロ波共鳴 / 超微細定数 / 核g定数 |
研究概要 |
CERNに移された超微細異常の研究用の原子ビーム・レーザー4重共鳴実験装置は、今年度から本格的に整備を開始し、組み上げられた後、真空系を作動させ、ビームラインと結合された。本年6月には、小川(研究協力者)と松木が3週間滞在し、整備をフランス側の研究者とともに行なった。また、光ポンピングに必要な半導体レーザー安定化装置のテストと整備をフランス・エミコトン研究所で行なった。この時点で、装置の整備、テストは、中性化装置(質量分離装置よりのイオンを、実験装置直前で中性原子にして、レーザーやラジオ波との相互作用を容易に起こさせることが出来るようにすることと、相互作用時間を長くして周波数精度を上げるためにビームのエネルギーを小さくする目的を持つ)を除いてほぼ完全に出来た。 以上の経過にもとずき、9月にはオンラインでCs原子ビームを用いた最初の実験を行なう予定で、村山、稲村、藪崎、松木の4名が滞在した。残念なことに、実験を行なう前に、他のグループの実験中オンライン用のイオン源が故障し、これにともなって、電源関係に支障が発生して我々の実験は延期せざるを得ない状況となった。しかし、オフラインでの実験は可能であり、安定Cs,K,Rbビームを用いた装置系のテストと、特に中性化装置の本格的なテストを行なうことが出来た。中性化装置は、テストの結果少し手直しを要するところがあることが判明したが、基本的には使える見通しがたった。この後、中性化装置は手直しされて、12月現在で使用できる状態となっている。 以上の経過で、装置系の充分なテストが出来、その結果オフラインの実験により安定K原子のg一定数が高精度で決定出来る事が,CERNの実験施設においても確認されたことになる。これは、当初の目的である超微細異常の研究を実施するのに、我々の研究装置が充分な精度を持っていることを示したものである。この結果は論文としてまとめられて、Nucl.Instr.Meth.誌に報告された。また、村山利幸が、研究紹介として日本物理学会誌11月号に報告をした。
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