研究分担者 |
DIEBOLD Guy Yale Univ., Research S
CHRIEN Rober Brcokhaven Natl Lab., AGS Dept, MEGroup Le
PILE Philip Brcokhaven Natl Lab., AGS Dept, Physicist
與曽井 優 京都大学, 理学部, 助手 (80183995)
延與 秀人 京都大学, 理学部, 助教授 (30213606)
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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研究概要 |
この研究の主な目的は、高エネルギー重イオン衝突において生成される可能性のあるストレンジクオーク物質(ストレンジレット)を探索することのある。このために静電型質量分離器をもつ大立体角二次ビームラインを質量、運動量分析器として用いて、大量のp、dなどの通常粒子を除いたうえでクリーンな新粒子探索の実験を行うことにした。実験の提案はBNLのPACに認められ、平成5年9月に約一ヶ月間、ブルックヘブン国立研究所において12GeV/NのAuビームが初めて成功裡に加速されたとき、我々は取り出されたビームの全強度の約半分を使用して実験を行った。AuビームをPtターゲットにあて、その衝突でできた粒子をスペクトロメーターで測定した。特に高エネルギー重イオン衝突で生成されるかもしれないとして理論的に注目されているストレンジクオーク物質は、比電荷(Z/A)が非常に小さいと考えられる。従ってZ/Aが小さい粒子に注目して測定した。この測定には、日本から4名の研究者が参加し、また粒子の電荷や速度を側る検出器(シンチレーションカウンター)は日本から持ち込んだものである。粒子の運動量(Rigidity)と速度を測るスペクトロメーターを二段シリーズにすることによって、非常にクリーンな生成粒子の質量スペクトルを得ることができた。当然このような観測にかかるべき6He,8He,8Li,9Li等の不安定核が確かに検出されており、実験としてはうまくいったと考えている。ただしストレンジクオーク物質の候補と思われるような粒子は残念ながら今のところ見つかっていない。 しかしこの実験では、同時にP+Pt,Si+Pt,Au+Pt衝突からの通常粒子(π,K,P,d,t,3He,4He)を測定し、その生成断面積を求めた。これは特にd,t,3He,4Heについてはまったく新しいデータであり、特に反陽子生成や複合粒子の生成の入射粒子依存性を明きらかにして、研究発表の項にある二つの論文にまとめた。 ストレンジクオーク物質については、Z/Aの小さな粒子(原子核)についてA=20程度の質量領域までnbの生成断面積のレベルまで調べることができた。残念ながらそのようなものはなく、生成断面積の上限を与えることとなった。この一部はすでに論文として投稿されている。われわれのデータはいまのところ、高エネルギー重イオン衝突におけるストレンジレット探索にかんしては。最も厳しい上限値を与えるものとなっている。 またさらに平成6年度はシンチレーションファイバー検出器を日本より持ち込んでH粒子の観測実験も行い、現在データ解析中である。
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