研究課題
ジャワ島西部の地質学的にまた地形的にも顕著なレンバン断層、タンクバンペラウ火山およびカモジャン地熱地帯周辺の現在の地殻変動を調査するために設置されている15カ所のGPS観測基準点ほかにおいて、2台のラコステ重力計を使用して重力測定をおこなった。地殻変動にともなう重力値の変化を知ることは、地下における流体など物質の移動の有無などその原因を究明するために不可欠な情報である。この目的のために、まず重力の国際結合を実施した。これまでにインドネシアにおける重力基準点値に不明確な点があり、その解決が望まれていたが、今回日本とシンガポール、シンガポールとインドネシア間で国際結合測定を実施し、インドネシアの基準値を確定することができた。これをもとに、上記GPS基準点の精密重力測定を行なった。現在、測定結果は解析中であるが、これにより今後の重力変化検出のための基準値を決定することができた。次に、上記地域における地殻変動を検出するためのGPS観測データの解析を進めた。成果の一部は平成5年12月に神戸市で開催された「第8回地殻変動国際シンポジウム」において研究分担者の一人によって発表された。GPS測位の精度は大気中におけるマイクロ波の伝播遅延による誤差によって左右されるが、この誤差の補正を目的とした地上気象連続観測について調査し、とくに雨季における観測に際して湿度センサーへの結露の防御対策が必要であることが分かった。熱帯という気候条件と赤道下という電離層活動度の高い地域における、欧米やわが国にくらべ高精度の得にくい条件下でのGPS観測であり、観測開始後まだ時間経過が短いこともあって、地殻変動を検出する段階には至っていない。これについては今後2年目の研究結果を待つ段階である。
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