研究分担者 |
GASPARD Pier ブリュッセル自由大学, 上級研究員
SCHINKE Rein マックス, プランク研究所, 上級研究員
COALSON Rob ピッツバーグ大学, 助教授
田崎 秀一 基礎化学研究所, 研究員 (10260150)
長岡 正隆 基礎化学研究所, 副主任研究員 (50201679)
山下 晃一 東京大学, 工学部, 助教授 (40175659)
|
研究概要 |
1.山下は,平成6年7月25日から8月6日までブリユッセル自由大学にて,Gaspard博士と遷移状態量子化法を用いて波束ダイナミクスについて共同研究を行なった.さらに山下とSchinkeは光解離反応の遷移状態領域における散乱共鳴状態を量子波束法を用いて追跡し,少数多体系の力学と関連づけた.平成6年度はCoalson博士を招聘する予定であったが,同博士の所属大学における教育義務の都合により,平成7年度へと変更した.2.長岡は,Gaspard博士が平成6年5月15日から6月3日まで基礎化学研究所を訪問した際に,量子拡散過程に関する波動関数アプローチを凝縮系の化学反応に対して適用することを検討し,基本的文献の調査と対象系の選択の検討を行なった.その後,長岡が平成6年7月29日から8月24日までブリュッセル自由大学を訪問した際に,輻射場中の電子遷移の取り扱いを古典場中の化学反応系に置き換えて考察し,そのときの基礎方程式を定式化した.3.田崎は,Gaspard博士が平成6年5月15日から6月3日まで基礎化学研究所を訪問した際に,「多重パイこね変換」における非定常状態,分岐現象の確率的扱いに関する共同研究を行なった.田崎とGaspardは,可逆な力学系において巨視的な非可逆過程の現象論に支配される状態がフラクタル分布の助けを借り実現可能である事を示した,これより,統計理論とダイナミクスの間に従来考えられているよりも直接的な関係があることか明らかになった.この結果は,雑音と見做されてきたもののなかから,ダイナミクスを反映した重要な情報を得ること可能であることを示しており,実験的研究上の意義も大きい.
|