研究課題
本年度は米国側からの計測装置の移設協力のもと日本側TS-3装置の磁気リコネクション実験を多角的に展開すると同時に、日本側が米国側MRX装置の設計に協力した。まず、6月に小野、ヤマダ、パーキンスらに他研究機関を加えた磁気リコネクションの国際会議を行い、過去5年間の日本側TS-3によるプラズマ合体実験研究と米国側磁気リコネクション理論研究に関する議論、総括を行った。同時に米国側から高速デジタイザーなど計測機器の移設を開始、7月より共同実験を開始した。その結果、1)分解能の向上させた2次元磁界計測により中性電流層の電流分布、抵抗変化が明かとなった。これにより、リコネクション線に沿った磁界成分が大きいと中性電流層の圧縮性が低下してリコネクション速度が低下することが判明した。リコネクション角の減少に伴いリコネクション速度が低下するという磁気リコネクションの3次元効果の基本的メカニズムが明らかになった。2)スペクトル線のドップラーシフト、広がりを観測した結果、磁気リコネクションによるプラズマイオンの加速、およびイオンの異常加熱現象が新たに明かとなった。リコネクション角の大きいとその異常加熱効果増すという核融合プラズマの逆転磁界ピンチ配位とトカマク配位のイオン温度の差異に対応する結果が得られた。これらの成果は11月米国物理学会において2件の発表、および招待講演によって公表した他、小野らがPhysics of Fluids B等において論文公表を行った。さらに11月下旬にヤマダ氏を招へいし、パーキンス、ハンフリーらの理論・計算機解析との対応について研究討論を行った。一方米国側では高レイノルズ数領域をカバーするMRX実験装置の設計、建設を行った。この過程で7月小野、11月桂井、小野を派遣し、TS-3実験の経験をもとに可動型フラックスコアを用いたリコネクション領域の制御といった新しい実験方式の採用が決定した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)