1.本研究は日本に於ける幸田グループとアメリカ合衆国におけるApkarianグループの間の密接な協力の基に、低温結晶などの閉じ込められた場における光励起された小分子の物理的、化学的な挙動の理解を格段に進め、その光変換媒体としての応用へ展開することを目的としている。 2.本年度は、相互に相手を訪問し、また研究協力者を派遣して実験視察、研究報告、相互討論により、共同研究の進展を計った。即ち、平成5年7月30日〜8月12日に幸田がApkarian教授を訪問、滞在し、「クラスター及び結晶中の小分子の光物理過程の研究のための研究連絡」、同10月23日〜29日には、研究協力者の大島が「凝縮相中のクラスターの研究に関する情報交換」を進めた。11月18日〜28日にはApkarian教授が幸田のグループを訪問、滞在し、「固体中のエキシマー状態の理論、実験に関する研究連絡」として、特に造詣の深いエキシマー状態の研究報告を行い、実験上のサポート、相互討論を深めた。平成6年2月3日〜10日には研究協力者の金森がApkarian教授を訪問し、「結晶中の小分子の分光学的研究に関する情報交換」を進めた。このような密接な研究連絡の下で、重水素中の酸素分子の光励起過程についてApkarianグループで、XeSエキシマーの可能性について幸田グループで、それぞれ実験的研究を推進し、励起原子、分子の光誘起生成、緩和に関する新たな知見をえた。
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