研究課題
本研究は火災時の煙流動等、流体の密度変化が大きい高浮力乱流の予測手法を開発することを目的とするものである。本研究では、密度変化の著しい浮力乱流における乱流構造をレーザー流速計で詳細に計測し、これにより得られた乱れによる熱流束等に関する測定データを用いて、新たな圧縮性浮力流体の乱流モデルを作成することを目的とする。平成五年度は、レーザードップラー流速計(LDV)による圧縮性高浮力乱流の変動風速計測法と線径12μmの極細熱電対による変動温度計測法を開発した。さらに、本計測システムを応用し、3次元モデル火災室内の高温自然対流に関する模型実験を行い、平均風速、平均温度の他、レイノルズストレス、乱れのヒートフラックス等の各種乱流統計量を高精度かつ詳細に測定した。このような高温高浮力流れ場における乱れ性状を詳細に測定した例はかつてなく、本実験データは、圧縮性高浮力乱流の数学モデルを検討するための貴重なデータとなった。また、実験とともに、本実験を対象とした数値シミュレーションも行った。数値シミュレーションは、簡易圧縮性乱流モデル及び密度変化を考慮した乱流モデル(Humphreyらのモデル)に基づくものであり、さらにこれに放射連成計算、温度成層下での乱れの減衰を考慮した新たなモデルを組み込むことにより、実験結果と良い対応が得られ、数値シミュレーションの妥当性が確認された。