ウェーハスタック構造型自律再構成・超並列コンピュータの研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044090
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 堀口 進 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (60143012)
• 研究分担者: 小林 広明 東北大学, 工学部, 助教授 (40205480) ; 下平 博 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (30206239) ; 丹野 州宣 山形大学, 工学部, 助教授 (40007018) ; 中村 維男 東北大学, 工学部, 教授 (80005454) ; FABRIZIO Lom テキサスM&A大学, 計算機科学科, 教授 ; THOMAS F.Kni 人工知能研究所, MIT計算機科学科, 準教授主席研究員 ; PETER Wyatt MITリンカーン研究所, 主研究員 ; JUNG H.Kim ルイジアナ州立大学, 先端計算機科学センター, 助教授
• キーワード: 超並列コンピュータ / WSIシステム / ウェーハスタック構造 / 自律再構成方式 / 自己診断技術 / テスト容易化設計技術

研究概要

最先端科学技術分野では、高速計算能力のみならず巨大メモリ空間が必要とされ、現在のス-パコンピュータとは異なった超並列システムが、その分野の基盤技術の1つとして注目されている。多数のプロセッサで構成される超並列システムでは、プロセッサ結合方式やプロセッサ故障を考慮に入れた構成方式が重要である。本共同研究では100万個規模のプロセッサからなる超並列ハードウェア・アーキテクチャとして、ウェーハ規模超集積コンピュータをスタック構造にした3次元構造アーキテクチャに関して研究してきた。先ず、ウェーハスタック構造超並列コンピュータのためのプロセッサ結合方式に関して、格子型結合方式やハイパーキューブ結合方式の可能性について詳しく検討した。その結果、プロセッサ間の通信コストではハイパーキューブ結合方式が優れているが、テスト技術容易性、冗長構成による再構成率、VLSIインプリメントなど総合的に格子結合方式が優れていることが明かになった。また、ウェーハ規模の格子結合型超並列システムでは、冗長技術と自己テスト技術により自律再構成可能なシステムアーキテクチャを実現できることを示した。これは、実用的な超並列システムが局所情報のみを用いた分散・協調メカニズムにより自律再構成されなければならない事から特に重要な知見である。また、冗長構成による超集積化された1万台規模のプロセッサシステム内での故障を考慮に入れた階層構造冗長化アーキテクチャの提案を行った。新しく提案した階層型冗長構成は、米国側でのシミュレータにより性能評価を行い、その有効性を明かにした。しかし、階層型冗長構成における自律再構成方式に関してテスト容易設計や自己診断技術などの困難な問題が多く、現在これらの問題に対してアメリカおよび日本で研究を継続している。

研究成果

• [文献書誌] Susumu Horiguchi: "“Reconfigurable Architecture of Cube-Connected Cycle Mutiprocessor System"" Proc.of IEEE TENCON'93. 213-216 (1993)
• [文献書誌] H.Kobayashi: "“Load Balancing based on Load Coherence between Continuous Image for an Object Space Parallel Ray-Tracing System"" IEICE Trans.INF.& SYST.Vol.E76-D. No.12. 1490-1499 (1993)
• [文献書誌] Susumu Horiguchi: "“Yield Enhancement Architecture of WSI Cube-Connected Cycle"" Proc.IEEE Int'l Conf.WSI. 61-68 (1993)
• [文献書誌] J.Salinas: "“Optimal Reconfiguration of WSI Multipipeline Arrays"" Proc.IEEE Int'l Conf.WSI. 143-152 (1993)
• [文献書誌] 沼田 一成: "格子型マルチプロセッサシステムのWSI構成法" 電子情報通信学会論文誌D-I.vol.J77-D-I. No.2. 121-129 (1993)
• [文献書誌] 堀口 進: "WSIデバイスの研究開発動向" 電子材料vol.33. No.2. 22-30 (1993)