研究課題/領域番号 |
05044097
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 聡 大阪大学, 工学部, 教授 (30144439)
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研究分担者 |
重岡 利孝 大阪大学, 工学部, 助手 (10263211)
川田 善正 大阪大学, 工学部, 助手 (70221900)
WILSON Tony オックスフォード大学, 工学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 光メモリ / 三次元光学 / 共焦点光学系 / フォトポリマー / フォトリフラクティブ結晶 / 非線形光学 / 位相差顕微鏡 / ホログラフィックメモリ |
研究概要 |
3次元共焦点型3次元光メモリの開発 ビットデータを多層に記録する3次元光メモリにおいて、原理の確認および記録密度の向上を試みた。また、フォトリフラクティブ結晶をデータの記録材料に用いることを検討し、書き換え可能な3次元光メモリを検討した。 まず、フォトポリマー材料を用いて、3次元光メモリのデータの記録・再生実験を行った。面内のデータ間隔2ミクロン、層間隔10ミクロンでデータを記録し、再生することが可能であることを確認した。この確認は、通常の位相差顕微鏡光学系を用いて行った。 よりコントラストよくデータを読み出すために、共焦点型の位相差顕微鏡を開発し、実際にデータの再生を試みた。その結果、共焦点型の位相差顕微鏡を用いることにより、再生データのコントラストが、通常の位相差顕微鏡光学系を用いる場合に比べて、飛躍的に向上し、また、光軸方向の分離もよくなることがわかった。 データの記録媒体と空気との屈折率の違いによって生じる球面収差の補正方法について検討した。データの記録媒体にフォトポリマーを用いる場合には、フォトポリマーの屈折率が1.5〜1.6であるので、通常の油浸対物レズを用いることにより、かなり補正できることがわかった。実際に油浸対物レズを用いてデータの再生を行い、コントラストがよくなることを確認した。 実際に30層データを記録した、多層記録型の光カードを試作した。このカードは、クレジットカードと同程度の大きさであり、その一部に30層のデータが記録されている。 ビット記録型の3次元光メモリと、ホログラフィックにデータを記録する3次元光メモリの記録密度を理論的に比較・検討した。その結果、データの記録再生に高い開口数のレンズを用いる場合には、ビット記録型光メモリの記録密度方が高いことがわかった。 データの記録材料にフォトリフラクティブ結晶を用いた3次元光メモリを検討した。フォトリフラクティブ材料は書き換え可能な材料であるので、記録媒体に用いることにより、書き換え可能な3次元光メモリが実現できる可能性をもつ。 もっとも一般的なフォトリフラクティブ結晶であるLiNbO_3の場合について、結晶内に形成される屈折率分布を解析した。ビット記録型の光メモリでは、結晶中の1点にレーザーを集光してデータを記録するため、フォトリフラクティブ結晶に干渉縞を入射したときに用いられる近似などを使用できない。そこで、結晶中にレーザー光を集光したときに形成される屈折率分布を解析する手法を開発した。この方法は、フォトリフラクティブ結晶のメカニズムを記述する物質方程式を漸化式に変形し、全く近似を用いずに数値計算する方法である。ある時刻t_nの電荷密度分布を求め、それから電場E_nを求める。電場によって、電荷の移動を計算し、その結果から、時刻t_<n+1>の電荷分布を求める。この計算を繰り返すことにより、任意の時間の電荷分布、電場分布、屈折率分布を求めることができる。この解析により、収束光によってつくられる屈折率分布が、フォーカス位置に局在する事、レーザー光を切っても屈折率分布が消えずに残ることが確認できた。この解析は、y軸カットの結晶とz軸カットの結晶とでそれぞれ行い、両者を比較検討した。 LiNbO_3結晶の場合について、もっともコントラストよくデータを読み出すための結晶軸の方向と読み出し光の偏光方向との関係を調べた。その結果、読み出し光の偏光方向と結晶軸が垂直のときに比べて、読み出し光の偏光方向と結晶軸が平行のときの方が約3倍、再生像のコントラストが向上することがわかった。実際にy軸カットの結晶とz軸カットの結晶をもちいて実験を行い、解析結果の検証を行った。その結果、y軸カットの結晶を用いて、かつ、読み出し光の偏光方向と結晶軸が平行になるように光学系を配置したときに、データをコントラスト読み再生できることを確認した。 y軸カットのLiNbO_3結晶を用いて、データの記録・再生の実験を行った。面内のデータ間隔4ミクロン、層間隔15ミクロンで10層のデータを記録・再生することに成功した。
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