研究課題
東南アジアの豊富な農林産資源を、枯渇と生態破壊を避けつつ、発酵工業に有効利用するための基礎的研究を行うことを目的とし、共同研究を実施した。また、平成6年10月にタイ国コンケンで開催された生物工学に関する日・タイセミナー(タイ科学技術庁・日本学術振興会共催)において、東南アジア産農林産資源の工業的利用に関するシンポジュウムを開催し、共同研究の成果について公表した。主な結果は以下のとおり。1.デンプン・ヘミセルロース分解酵素の検索と生産:キャッサバデンプン糖化酵素の高生産株として分離したリゾップス属カビA11株を用いて、液体培養法による酵素生産を検討し、金属元素の制御が生産を増強することを明らかにし、グルコアミラーゼ活性として650単位/ml、生キャッサバデンプン分解活性で160単位/mlと従来検討できた個体培養法より高い酵素清算を得た(藤尾)。また、デンプン精製廃水の有効利用のため、飼料用藍草生産について検討した(Marakot)。2.デンプン・ヘミセルロース分解糖を用いる発酵生産とプロセスの開発:Bacillus thringiensisの殺虫タンパクであるδ毒素遺伝子を組換えた枯草菌は、高グルコース濃度下では有機産を蓄積し毒素生産を抑制した。そこでファジイ制御方策を利用し、培地中のグルコース濃度を低く抑える培養法を確立した(小林)。ヘミセルロースの有効利用のため、育種株であるCandida属酵母M34を用いてトウモロコシ芯より調製したキシロースのキシリトールへの変換発酵を検討し、溶存酸素を制御する最適生産方策を提唱した(松村ら)。また、キシロースからのエタノール生産について、代謝制御工学の立場から、溶存酸素濃度制御とキシロース流加培養を組み合わせた方策により、エタノール生産が向上することを明らかにした(吉田、大嶋、Savitree)
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