高強度X線加熱プラズマ中のエネルギー輸送過程

1995 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 05044100
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 中井 貞雄 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (10029019)
• 研究分担者: FOERSTER E. マックスプランク協会ワーキンググループ, 主任研究員 ; EIDMANN K. マックスプランク量光学研究所, 主任研究員 ; MEYERーTERーVE ジェイ マックスプランク量光学研究所, 主任研究員 ; SIGEL R. マックスプランク量光学研究所, 主任研究員 ; 白神 宏之 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (90183839) ; 阪部 周二 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (50153903) ; 西村 博明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (60135754) ; 高部 英明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (20150352) ; 三間 圀興 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (30033921) ; MEYER-TER-VEHN J. Max-Planck Institut fuer Quantenoptik, Germany Senior Investigator
• 研究期間 (年度): 1993 – 1995
• キーワード: フェムト秒レーザー / X線発生 / エネルギー輸送 / 高密度プラズマ / 高強度物理 / レーザー核融合

研究概要

1982年以来、ドイツ連邦共和国マックスプランク量子光学研究所と「レーザーによるX線の発生と閉じ込め」に関する共同研究を実施してきた。その結果、X線絶対スペクトル測定、高密度プラズマ中の輻射過程、輻射流体力学の理論解析に大きな進展が得られた。空洞によるX線閉じこめの実証と実験室系の最高温度250万度のプランク輻射の発生に成功している。これらの成果を踏まえて、平成7年度は、レーザー生成X線輻射により加熱された高密度プラズマ中のエネルギー輸送問題、特に輻射熱波の伝搬、衝撃波、そして再輻射過程を解明し、この工学的応用(核融合燃料球の設計、高強度X線源、X線レーザー等)の調査を行うことを目的として共同研究を実施した。
今年度は、X線発生の工学的応用を念頭に「超短パルスレーザーとその応用」について、ワークショップを開催し幅広い討論を行った。その主な内容は以下の通りである。
(1)慣性核融合へのフェムト秒レーザー応用
高速点火に関する基礎研究として、超高強度下での吸収エネルギー、高速電子温度測定法について議論し、フェムト秒レーザーで点火された核燃焼波の伝搬についてその物理機構が検討された。
(2)固体表面での高調波発生
フェムト秒レーザーを用いた固体表面及びプラズマ中からの高調査発生の物理が明らかにされた。高密度領域のプラズマとフェムト秒レーザーとの相対論的相互作用についても議論された。
(3)フェムト秒レーザー開発
チイタンサファイアをベースとした超短パルスレーザーシステムに関する技術が議論された。高強度超短パルスレーザーを広く応用に供するためには、消光比の高い、品質の良いビームが必要であると各分野の専門家から指摘され、今後の重要課題として確認された。
(4)気体中での高調波発生
気体中でのコヒーレント真空紫外光及び高調波発生と真空紫外レーザーへの応用が議論された。
(5)ピコ秒、フェムト秒レーザーの伝搬特性
超高強度レーザーが気体中を伝搬するときの、パルススペクトル、時間波形の変化について討論された。
(6)相対論的レーザープラズマ相互作用の計算機シミュレーション
強結合プラズマと超短パルスレーザーとの相互作用に関する3次元粒子シミュレーションコードの開発についての共同研究テーマが議論され、来年度より実施することがき合意された。
(7)フェムト秒パルスの固体中での吸収
サブピコ秒レーザーと固体密度物質との相互作用、プラズマ形成を解明する流体コード開発と実験との比較について議論された。
(8)コヒーレント、インコヒーレントX線発生とその計測
フェムト秒レーザー生成プラズマからのX線の湾曲結晶を用いた計測法について議論され、今後の共同研究に使用する計測器の設計課題を明らかにした、
(9)高強度原子物理
強レーザー電界下での原子の電離過程の物理が明らかにされた。さらに、超短パルスレーザーの化学への応用として、重元素の光還元群分離法が示された。
ワークショップの後、ドイツが推進しているレーザー2000プロジェクトを視察すべく、ベルリン工科大学、マックスボルン工学研究所、ハノーバー工科大学、ハノーバーレーザーセンターを訪問し、超高強度X線発生に必要な先端レーザーに要求される技術の開発動向を調査した。さらに現状での高強度レーザーの産業応用を視察するために。レーザー加工機器メーカーのタランプ社他を視察訪問し、今後の開発項目を調査した。

研究成果

• [文献書誌] H.Nishimura,T,Kiso,T.Endo,K.Fujita,A.Sunahara,H.Takabe,Y.Kato,and S.Nakai: "Study of indiredtly driven implosion by x-ray spectroscopic measurements" Physics of Plasmas. 2. 2063-2074 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura,H.Shiraga,Y.Kato,T.Yamanaka,S.Nakai,I.Uschmann,and E.Foerster: "Symmetry observation and temperature mapping of laser driven fusion plasmas with novel x-ray imaging technology" 15th International Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research,IAEA-CN-60/B-P-8,Seville,Spain. CN-60/B-P-8. (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura,K.Fujita,I.Uschmann,E.Foerster,H.Takabe,T.Kato,and S.Nakai: "Monochromatic imaging of laser fusion p[lasma by the use of 2-dimentionally bent crystals" Proceedings of the 11th Colloquim on UV and X-ray spectroscopy on Astropysical and Laboratory Plasmas,Nagoya. (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Fujita,H.Nishimura,H.Takabe,Y.Kato,and S.Nakai: "Two dimensionally space-resolved electron temperature measurement of fusion plasma by x-ray monochromatic imaging method" 12th International conference on Laser Interaction and Related Palsma Phenomena,Osaka. (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Fujita,H.Nishimura,H.Takabe,Y.Kato,and K.Mima: "Temperature distribution measurement of inertially confined fusion plasma by x-ray monochromatic imaging method" 7th International Toki Conference on Plsama Diagnostics,Toki. (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] I.Uschmann,E.Foerster,H.Nishimura,K.Fujita,T.Kato,and S.Nakai: "Temperature mapping of compressed fusiom pellets obtained by monochromatic imaging" Review of Scientific Instruments. 66. 734-738 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura, T.Kiso, T.Endo, K.Fujita, A.Sunahara, H.Takabe, Y.Kato, and S.Nakai: "Study of indiredtly driven implosion by x-ray spectroscopic measurements" Physics of Plasmas. 2. 2063-2074 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura, H.Shiraga, Y.Kato, T.Yamanaka, S.Nakai, I.Uschmann, and E.Foerster: "Symmetry observation and temperature mapping of laser driven fusion plasmas with novel x-ray imaging technology" 15th International Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research. CN-60/B-P-8. 1-5 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura, K.Fujita, I.Uschmann, E.Foerster, H.Takabe, T.Kato, and S.Nakai: "Monochromatic imaging of laser fusion plasma of the use of 2-dimensionally bent crystals" proceedings of the 11th Colloquium on UV and X-ray spectroscopy on Astrophysical and Laboratory Plasmas, Nagoya. 1. 1-5 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Fujita, H.Nishimura, H.Takabe, Y.Kato, and S.Nakai: "Two dimensionally space-resolved electron temperature measurement of fusion plasma by x-ray monochrpmatic imaging method" 12th International conference on Laser Interaction and Related Plasma Phenomena, Osaka. 1. 1-5
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Fujita, H.Nishimura, H.Takabe, Y.Kato, and K.Mima: "Temperature distribution measurement of inertially confined fusion plasma by x-ray monochromatic imaging method" 7th International Toki Conference on Plasma Diagnostics, Toki. 1. 1-5
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] I.Uschmann, E.Foerster, H.Nishimura, K.Fujita, T.Kato, and S.Nakai: "Temperature mapping of compressed fusion pellets obtained by monochromatic imaging" Review of Scientific Instruments. 66. 734-738 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より