研究課題
理論的検討を行い、現在ランカスター大学に滞在しているA.G.Kozorezovの協力を得て、特定モードのフォノン及び拡散フォノンの「粗い」表面での散乱について、短距離及び長距離の不規則表面の散乱を理論的に区別出来る事を明らかにした(今年夏のPHONON'95で発表の予定)。実験に於いては、昨年に引き続きヒートパルス散乱測定システムについて空間分解能と測定感度を高くするための数々の技術的改良を行なうと共に、研究のピッチを上げ、研究討論をより緻密にする目的で、これ迄の様にランカスター大学側のみで測定を行い、九州工業大学側でサンプルを作るというやり方から、九州工業大学側でも測定システムの開発と設置を行い、双方で平行して測定装置の改良や研究内容やデータを解析し、互いにアイデアや経験を出しあい連絡・討論を行ないつつ共同研究を進める方法に変えた。測定技術の改良としてボロメータの感度を高くするためにアルミ薄膜の蒸着条件に検討を加え、蒸着時に空気を導入し粒状アルミ結晶薄膜を作る場合、dR/dtを大きく、広い温度範囲で一定にし、かつ再現性を確実にするために、蒸着前に基板の加熱を十分に行い、空気の代わりに高純度酸素を1×10^<-5>Torr導入することにより実現した。レーザーパルスを用いてボロメータの時定数の測定を行い数nsecであることが分かり、これによりボロメータによる応答関数の数値計算による補正が可能となった。また極めて短い(数nsec)パルスを用いる事によるヒ-タとボロメータの直接電磁結合を出来る限り取り除くため電極の設計を繰り返し、初期のものより一桁小さくした。九州工業大学側で組み立てた測定システムもほぼ完成し、4月より実験を開始する事が可能となった。SiGe/Si膜の作製においては、或る程度の特性のものは出来るようになったが不十分で、他のグループよりSiGe/Si膜を入手しHEMTに加工する方法で対応することとした。
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