研究分担者 |
HASHIZUME Mi ユネスコROSTSEAプロジェクト, スペシャリスト
JAYAWARDANA エイ.ダブリュー 香港大学, 教授
ALEJANDRINO アンジェル エイ フィリッピン水理研究センター, 所長
RUIJU Liang Hohai大学, 教授
LEE Soontak Yeungnam大学, 教授
菅 和利 芝浦工大, 工学部, 助教授 (70052884)
虫明 功臣 東京大学, 生産研, 教授 (50011060)
竹内 邦良 山梨大, 工学部, 教授 (50016672)
椎貝 博美 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20016322)
榧根 勇 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10015539)
SOMKID Buapeng Ministry of Industry, Mineral Resources Bureau, Thailand
LE Van sanh Vietnam National Committee on IHP
FALKLAND Tony ACT Electricity and Water, Australia
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研究概要 |
東南アジア・東アジアおよび太平洋地域における河川と水資源の基礎情報(主として水文および水資源開発・水環境情報)を整備収集することは,今後この地域において予想される水資源の需要,水環境,水害の深刻さに鑑み,国際的さらに地球環境的見地からきわめて重要である.というのは,この地域の大部分を占めるアジアモンスーン地域は,今後人口の激増とそれに伴う水需要の急増が予想されている.しかし,それに対処する水資源開発および水環境保全は容易ではない.しかも,それを検討する基本情報とその交流はきわめて不十分な状況にある.今後,国際間の技術協力がこの問題解決のために必須であることを考慮すれば,上述の基礎情報の収集とその比較は早急に実施すべきである. この国際学術研究においては,1993年1月,マニラにおいて関係国の水文学者の代表によって,各国河川の情報を収集し,それをRiver Catalogueの型式で出版することが合意された.次いで同年7月,横浜において具体的方法を同じ各国メンバーで打ち合わせ,1994年12月カンボジアのシエムレアプにて第一次報告を受け,1995年10月,東京におけるIHP国際シンポジウムの折りに,River Catalogue 第1巻が完成し,同月甲府にて今後の第2巻以降の編集について打ち合わせを行った.なおこのRaver Catalogueによる成果を踏まえて,今後はFRIEND(Flow Regimes from International Experimental and Network Data)のアジア版作成を目指している. このRiver Catalogue 第1巻においては,各国1ないし3河川を選び,基本的地理,水文,人文情報と若干の解析,ならびに流域図,地質図,土地利用図縦断勾配図,年降水量および流量長期傾向図などより成る. 第1巻に収録されてた河川は以下の通りである. AustraliaのBurdekin Pioneerの2河川 CambodiaのPrek Thnot(Mekong川の右支川) 中国のBeijieng,Jinjiang,Jiyunheの3河川 IndonesiaのKali Citarum,Kali Bengawan Solo,Kali Brahtasの3河川 韓国のPyung chang-gang,Geumho-gang Miho-chunの3河川 MalaysiaのRajang Batang New ZealandのBuller川 PhilippinesのIlog Magat,Ilog Pampamgaの2河川 ThailandのMae Nam Ping,Mae Nam Nae Klongの2河川 VietnamのKy Cung,Thu Bon,Ba,Srepokの4河川 日本からは,最上川,荒川,吉野川の3河川 合計25河川である. 日本の3河川は,日本海へ流出する積雪多く穀倉地帯を流れる最上川,太平洋へ流出する人口密度の高い領域を流れる荒川,西日本を代表して四国第一の大河である吉野川であり,それぞれ日本河川の特色を持つ河川である. 各国の河川は,それぞれの国の担当者にその選考を任せたが,原則としてそれぞれの国の河川の特性を持ち,かつ基本情報が比較的整備されている河川が選ばれている. これら25河川は,Burdekin(Australia)のように流域面積13万km^2から,2000Km^2弱の河川,流域人口も荒川の900万をはじめ,中国,フィリピン,インドネシアなどは数百万から1000万を抱える一方,オーストラシア,ニュージーランドの数万に至るまで多様である.しかし,アジアモンスーン地域の河川は年降水量はいずれも1000ないし3000mmときわめて多く,流域人口も多い. なお,それぞれの河川の社会および文化的特徴も加えられているので,これらによってそれぞれの国の河川の人文および社会科学的特徴の一端も知ることができ,今後それらの点での比較研究の端緒となり,相互理解にも役立つと考えられる. 今後2年に1巻ずつ巻を重ね,今回は間に会わなかったラオス,パプアニューギニアなどを加えることによって,この地域の河川情報は逐次充実し,相互比較の精度も高まると期待される.
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