東アジアにおける集落・居住空間の秩序形成技術に関する比較研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044113
• 研究機関: 神戸芸術工科大学
• 研究代表者: 鈴木 成文 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (60010667)
• 研究分担者: 渋谷 鎮明 神戸大学, 文化学研究科, 助手 (60252748) ; 藤川 昌樹 筑波大学, 社会工学系, 講師 (90228974) ; 伴丈 正志 愛知県立芸術大学, 美術学部, 講師 (60218675) ; 齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (90195967) ; 黄 世孟 台湾大学工学院, 建築与城郷研究所, 副教授 ; 傅 克誠 中華清華大学, 副教授 ; 朴 勇煥 韓国漢陽大学校, 工科大学, 教授 ; 李 光魯 韓国ソウル大学校, 工科大学, 教授 ; 近藤 公夫 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (60031647) ; 伊藤 延男 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (40124193)
• キーワード: 東アジア / 集落空間 / 居住空間 / 秩序形成技術 / 比較研究

研究概要

平成6年8月4〜8日にかけて予備調査を行い、台北・台中地域を中心に大社、大茅埔、石岡、翁社、埔心、社頭の客家集落とプヌン族の2集落について資料を得た。次に8月22日〜31日の日程でこの中から、大茅埔、社頭、埔心、下城里の4集落を選定して現地調査を行い、土地利用、集落配置、道路構成、水系、主要施設分布の把握と、代表的住宅の実測に加え、ヒアリング、生活の観察、写真撮影を行った。
現地調査後集落別に成果を纏め、これを横断的に分析することで次に挙げる特性を発見した。
1.集落立地:地形的に見ると「尾根に囲まれる型」(社頭、大茅埔)と「水系に囲まれる型」(埔心、下城里)に、水利用から見ると「井戸利用型」(社頭、埔心)と「水路利用型」(大茅埔、下城里)に分類できる。
2.集落形態の変化:人口増減による形態変化は「居住域面積拡大型」(社頭、埔心)と「宅地細分化型」(大茅埔)、「両特性を持つ型」(下城里)に分類できる。
3.共同空間:居住域全体の空間構成に影響を与えており、正庁への係わり方によって特徴が明瞭になる。
4.三合院の増殖と集合:「護龍が増殖する型」(社頭)と「三合院自体が増殖する型」(埔心、下城里)、「計画された宅地に三合院型の空間が造られる型」(大茅埔)の3つに分類できる。更に三合院自体が増殖する型は、「リニアに増殖し結果的に宅地的な中間域を生み出す型」(埔心)と「既存三合院の一棟を取り込み「ロ」字状に中庭を囲む型」(下城里)に分類できる。
5.三合院の「間(ユニット)」:日本の都市で見られる近居・隣居的な住まい方がされている社頭、長幼の住み分けを維持しつつ三合院自体で増殖している埔心、隣の空室を買うなどして取り込む大茅埔、近親で三合院に住まうが必ずしも長幼の住み分けが行われていない下城里、など4集落でも様々な「間」の使われ方が展開されている。

研究成果

• [文献書誌] 鈴木 成文,藤川昌樹: "台湾・客家住居の住居平面類型とその構成" 日本建築学会大会梗概集. (予定). (1995)
• [文献書誌] 齊木 崇人,渋谷 鎮明: "台湾・客家集落の空間の秩序形成技術" 日本建築学会大会梗概集. (予定). (1995)
• [文献書誌] 朴 勇煥,伴丈 正志: "台湾・客家集落の共同空間とその秩序" 日本建築学会大会梗概集. (予定). 1995