真空ポンプ付きリミターによる高温プラズマの熱・粒子制御研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044115
• 研究機関: 核融合科学研究所
• 研究代表者: 黒田 勉 核融合科学研究所, 開発研究系, 教授 (00023713)
• 研究分担者: ESSER H.G. ユーリッヒ総合研究機構, プラズマ研究所, 研究員 ; WINTER J. ユーリッヒ総合研究機構, プラズマ研究所, 研究員 ; PHILIPPS V ユーリッヒ総合研究機構, プラズマ研究所, 研究員 ; FINKEN K.H. ユーリッヒ総合研究機構, プラズマ研究所, 研究員 ; 上田 良夫 大阪大学, 工学部, 助手 (30193816) ; 小越 澄雄 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (60134459) ; 伴野 達也 東京大学, 工学部, 講師 (70189736) ; 庄司 多津男 名古屋大学, プラズマ科学センター, 助教授 (50115581) ; 野田 信明 核融合科学研究所, プラズマ制御研究系, 助教授 (10144172)
• キーワード: 核融合プラズマ / ポンプリミター / 水素ペレット / 高融点金属 / 高周波リミター / 熱・粒子制御 / 周辺プラズマ / プラズマ・壁相互作用

研究概要

今年度は、高周波印加リミターの実験開始、タングステンリミター実験継続、ペレット入射時の電流分布変化に関する討論などをユ-リッヒ派遣によって行った。また分担者のPhilipps氏を招聘し、大阪、名古屋において高Zリミター実験結果についての討論を行った。得られた成果を以下に要約する。
(1)高周波印加時の周辺プラズマ測定により、リミター周辺の密度がパワーに比例して減少することを確認した。しかし、当初の目標であるリミター熱負荷の減少は観測されていない。そこで周波数変更、印加パワーの増力のための改造を行い、さらにリミターヘッド形状改善案をまとめた。
(2)タングステンリミター実験では、モリブデン同様ジュール加熱実験でタングステンのプラズマ中心部への集積と不安定性が起こり、中性粒子入射加熱、イオンサイクロトロン共鳴加熱でそれが解消されることを確認した。また、周辺プラズマ冷却のために行ったネオン入射に伴い、モリブテン、タングステンの発生率には大きな変化がないこと、しかし条件によってはこれらが中心部に集積をみせることがわかった。
(3)モリブデン、タングステンとも、リミター表面で発生した不純物は短い距離で電離し、密度が上がるほど電離の平均自由行程が短くなることを実測によって確認した。電離した不純物はサイクロトロン運動によって発生場所の近くに再堆積するため、プラズマを汚す確率が極端に低くなる。この効果を実験的に初めて実証したことになる。
(4)ペレット入射時の電流分布変化に伴う鋸歯状波振動、エネルギー輸送の変化について、新たに理論モデルを提唱し、テキサトールプラズマの実験結果と比較して討論した。実験、理論双方の今後の課題と分担を明確にした。
これらの成果について2月にユ-リッヒで開催されたIEAテキサトールワークショップで発表を行った。

研究成果

• [文献書誌] Tetsuo Tanabe: "High Z Mo-Limiter Test in TEXTOR:Impurity Fluxes,Thermal Response and Postmortem Analysis of Mo-Limiter Head" Journal of Nuclear Materials. 212-215. 1370-1375 (1994)
• [文献書誌] Yoshio Ueda: "Effects of Immpurities Released from High Z Test Limiter on Plasma Performance in TEXTOR" Journal of Nuclear Materials. (発行予定).
• [文献書誌] Tatsuya Banno: "Particle Balance Studies in TEXTOR with Pellet Injection,NBI-Heating,and Helium Injection" Journal of Nuclear Materials. (発行予定).
• [文献書誌] Volker Philipps: "Molybdenum Test-Limiter Experiments in TEXTOR" Nuclear Fusion. 34. 1417-1429 (1994)
• [文献書誌] Tetsuo Tanabe: "High Z Limiter Test in TEXTOR-Thermal Response and Postmortem Analysis-" Fusion Engineering and Design. (発行予定).
• [文献書誌] Tetsuo Tanabe: "High Z Candidate Materials for Plasma Facing Materials" Supplement of Nuclear Fusion. (発行予定).