研究課題/領域番号 |
05044118
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東 正剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (90133777)
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研究分担者 |
WESTーEBERHAR エバーハード メアリー シ スミソニアン熱帯研究所, 生態学部門, 主任研究員
WINDSOR Dona スミソニアン熱帯研究所, 昆虫学部門, 主任研究員
小島 純一 茨城大学, 理学部, 助手 (00192576)
松本 忠夫 東京大学, 教養学部, 教授 (90106609)
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キーワード | 社会性昆虫 / アリ / シロアリ / カリバチ / 新熱帯 / バロ・コロラド / 多女王制 / 不妊カースト |
研究概要 |
ほぼ計画通り研究を行い、以下のような新しい知見を得た。1)テングシロアリの1種Nasutitermes cornigerのコロニーを32採集し、うち8巣で複数の女王が確認された。DNA分析の結果、これまでの定説に反し、これらの女王は姉妹である可能性が高い。2)ハキリアリ族中で最も原始的な種とされてきたCyphamyrmex rimosusと、最近一部の学者によって最原始属とされたMyrmicocryptaの1種M.ednaellaの行動を観察した。その結果、M.ednaellaの菌園造りはこれまでに観察されている比較的高等な属のものとほとんど変わりがなかったが、C.rimosusの菌園造りは極めて特殊で、そ嚢から吐き戻したゼリーを菌園基質の主な材料としていることが判明した。これは始めての発見でありハキリアリの菌食が口移しによる栄養交換からどのようにして進化したのかを考える上で重要な知見と考えられる。3)アリ科の中で原始的とされるノコギリハリアリ族の1種Prionopelta Sp.の多女王性コロニーを観察したところ、a)ほとんどのコロニーで産卵女王は1個体であり、明らかに機能的単女王性である、b)産卵女王は非常に活動的であるのに対し、産卵していない女王は不活発であり、ワーカーにコロニーの中心域から排除されることが多い、c)このアリの女王は無翅型だが、これまでに報告されているものとは全く異なり、翅芽を有するにもかからわず翅が発生しない、などの知見が得られた。4)カリバチの1種Parachartergus smithiiについて分封によるコロニー創設を観察したところ、このハチの巣造りでは他の分封型カリバチと異なり、まずenvelope造りがcomb造りに先行することが明らかとなった。
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