研究課題/領域番号 |
05044128
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀田 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30190218)
|
研究分担者 |
古川 和広 名古屋大学, 理学部, 助手 (40229109)
CHANDLEY Ann 英国医学研究機構, 人類遺伝学部, 部長
施 立明 中国科学院, 昆明動物研究所, 所長
|
キーワード | 減数分裂 / 雄性不妊 / 精母細胞 / シナプトネマ構造 / 染色体対合 / 核構造 / ヤク / シカ |
研究概要 |
雑種雄性不妊のシカ(Cerus elaphus × Cerus nippon)のF_1の精巣、ヤク(Bos taurus × Bos grunniens)のF_1の精巣を入手し、減数分裂細胞の単離を試みた。Staput法、遠心分別法を用いてかなり純度の高い標品を得、ATP存在下でDNA strand transferとD-loop形成活性をもつ特異的酵素mRecとATP非依存的に同じ反応をおこなうmAiRecの存在を確認した。この活性を妊性もつ両親のものと比較する実験は進行中であり、雄性不妊雑種雄にみられる相同染色体不対合やDNA組換え欠損とこれらの関係は継続研究として残された。 本研究室に於て調製してあったユリ減数第一分裂前期核と単離シナプトネマ構造(S.C.)に対する抗体、マウス精巣の減数第一分裂前期核に特有な構造蛋白(ラミンB_3、MNS1蛋白)に対する抗体をこれら雑種雄性不妊動物の精母細胞に反応させ、核や核骨格の蛋白の共通性が示されたが、S.C.に関しては現在我々がもっている抗体を用いての共通性は認められなかった。S.C.の電子顕微鏡下での構造やdimensionは酵母からヒトまでほぼ同一であるが、マウス・ラットのS.C.から得られた抗体はそれらの間でのみ反応し、酵母のS.C.から得られた抗体は酵母だけと、ユリ花粉母細胞のS.C.抗体はユリだけと反応し、アラビドプシスなど他種のものに反応しない。しかし本実験に於て抗減数分裂核骨格蛋白(すべて中間繊維蛋白ファミリーに属する)の一部の抗体が相同染色体が部分対合している領域でプラスの反応を示したことは、雑種雄性不妊の減数分裂に於て、全般的には相同染色体の対合は少なく、S.C.も見られないが局所的にはS.C.を伴った安定な対合が存在していることを示唆する。実験中に免疫細胞学的解析に、テクノビット法がよい結果を示したが、電子顕微鏡用ミクロトームによる1〜2μmの薄い切片が不可欠であることが明らかになった。また新鮮な標品の入手が将来の研究を進め易くすることが明かとなった。
|