研究分担者 |
HEBER U. ヴュルツブルク大学, 植物教室, 教授
SCHREIBER U. ヴュルツブルク大学, 植物教室, 教授
三宅 親弘 京都大学, 食糧科学研究所, 学術振興会特別研究員
真野 純一 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (50243100)
遠藤 剛 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (90201962)
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研究概要 |
1. C3およびC4植物でのフェレドキシン依存循環的電子伝達 植物は強光にさらされると、チラコイド膜内外のpH勾配(△pH)形成により光化学系II(PSII)の量子収率を低下させ過剰な光エネルギーを熱として放出する。浅田および三宅はドイツ訪問先において以下の実験を行い、定常光の下でフェレドキシン(Fd)を介する光化学系Iでの循環的電子伝達が△pH形成に寄与することを見いだした。 ホウレンソウ(C3植物),トウモロコシ(C4植物),アマランサス(C4)チラコイド膜を嫌気条件下赤外光を光照射すると、Fd添加時に、△pH形成を示す9-Aminoacridine(9-AA)蛍光消光が生じた。このFd依存9-AA蛍光消光は脱共役剤(nigericin),電子伝達阻害剤DCMU,DBMIB,stigmatellinにより、またAnitimycin A,MOA-stilbeneにより阻害された。即ち、C3植物、C4植物では、ともに光化学系Iで光還元されたFdがCyt b/f複合体Qi部位へ電子を与え、循環的電子伝達を媒介することにより、△pHを形成すると考えられた。 Fd依存性循環的電子伝達は、CO_2存在下光合成を行っている葉緑体で全△pH形成の23%、CO_2が存在しない条件下では60%に達した。このように電子受容体が不足する強光・低CO_2等の条件下では過剰な還元力を生じないための防御機構としてFd依存性循環的電子伝達が△pH形成によるPSII量子収率低下に主として寄与していると考えられた。 以上の結果は現在、論文としてまとめ、投稿準備中である。 2. 葉緑体でのアスコルビン酸ラジカルの光生成の検出 U.Schreiber博士は京都大学食糧科学研究所を訪問し、同研究所の電子スピン共鳴装置を用いて無傷葉緑体中のMDAラジカル検出を試み、光照射に伴って葉緑体中のMDA濃度が変動することを初めて確認した。
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