研究概要 |
(1)内耳に分布する各種アミノ酸のスクリーニング、種差の検討 種々のアミノ酸(glutamate,glutamine,aspartate,GABA,glycine,taurine)に対する抗体を用い種々の動物(ニワトリ、ラット、マウス、モルモット、ネコ、サル)およびヒト内耳にどのようなアミノ酸が、どのような分布様式を示すのかについて検討した結果、以下のような知見を得ることが出来た。 glutamate:内耳(蝸牛、前庭)の感覚細胞に分布し、求心性の神経伝達物質としての可能性が示唆された。 glutamine:glutamate同様、感覚細胞に分布しglutamateの前駆物質として重要であると考えられた。 aspartate:蝸牛では主として外有毛細胞に分布し外有毛細胞の機能(運動性)や求心性の伝達物質に関与していることが明かとなった。また前庭感覚細胞にも分布し求心性の伝達物質に関与していることが推測された。 GABA:内耳の遠心性神経の分布しacetylcholineとともに遠心性の伝達物質として機能していることが推測された。 glycine:内耳の支持細胞に分布していることが明かとなった。 taurine:内耳の支持細胞に分布していることが明かとなった。 (2)内耳に分布する各種アミノ酸の電顕レベルの局在に関する検討 post-emmbedding法を用いた検討によりglutamateは感覚細胞に豊富に存在するものの、シナプス小胞とは一致した局在を示さないなど、中枢のglutamatergic神経終末とは異なる特徴を示すことが明かとなった。
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