研究課題/領域番号 |
05044156
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 神戸大学 (1995) 福井医科大学 (1993-1994) |
研究代表者 |
山村 博平 神戸大学, 医学部, 教授 (90030882)
|
研究分担者 |
KUROSAKI Tom WyethーAyerst Research, 主任研究員
KINET JeanーP ハーバード大学, 医学部, 教授
山本 雅 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
定 清直 神戸大学, 医学部, 助手 (10273765)
柳 茂 神戸大学, 医学部, 助手 (60252003)
南 康博 神戸大学, 医学部, 助教授 (70229772)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
キーワード | Syk / チロシンキナーゼ / Lyn / SH2 / DT40細胞 / RBL-2H3細胞 / Shc / FcgammaRIIIA / mast cell |
研究概要 |
平成5年谷口がKinet博士及黒崎博士の研究室を訪問し、Sykの抗体及cDNAを提供し共同研究ついて議論し情報交換した。黒崎博士はその後の研究結果を12月に来訪した際に報告し、彼らが作った新しい細胞株を持参した。2月には竹内が黒崎博士の研究室にて分子生物学的手法の指導を受けた。3月には柳と定が技術修得と研究交換のため両研究室を訪問した。平成6年度は5月に稲津がKinet博士の研究室を訪問し、我々の研究進展状況を説明し情報交換した。次いで谷口はニューヨークの黒崎博士のところでp72sykに関する彼らの研究進展状況について議論し情報交換した。黒崎博士はその後の研究結果を7月に来訪し報告し、彼らが作った種々の新しいB細胞株を持参し、我々と議論をした。8月山村が両研究室を訪問し研究成果について議論し、成果の発表について打ち合わせた。山村は次いで2月にNIHを訪問しマスト細胞、マクロファージにおけるSykの作用について多くの研究者と研究交換を行った。柳は黒崎博士の研究室に2月より2ヵ月滞在し、ジーンノックアウトの手技を学んだ。平成7年度は5月に山村がNIHのKinet博士の研究室を訪問し情報交換した。次いで山村と定が10月にバンダービルド大学で黒崎博士と情報交換するとともに最近のSykの研究の動向について情報収集を行なった。またボストンに移ったKinet博士と研究結果の議論、並びに研究成果取りまとめに関する打ち合わせ行なった。黒崎博士はその後の研究結果を12月に来訪した際に報告し、我々と神戸大学にて共同実験を行なった。主なる成果を列挙すると、 1、鶏B細胞(DT40細胞)におけるSyk cDNAのクローニングに成功し、かつこれを用いてゲノムクローニングにも成功した。このゲノムを用いてTargeting vectorを作製しSyk欠損のノックアウトB細胞の作製に成功した。この細胞を用いて野生株のB細胞と比較したところSyk欠損細胞ではB細胞刺激によるCa2+の上昇は見られなかった。(黒崎博士と共同研究) 2、Syk及びLynをCOS細胞に発現させてSrcファミリーとSykの相互関係を調べたところLyn(Fyn)がSykを燐酸化し活性化する能力のあることを確認した。さらに変異B細胞の実験においてもこの関係が認められた。(黒崎博士と共同研究) 3、DT40細胞においてSyk欠損株並びにLyn欠損株を作成しB細胞受容体刺激におけるSykの活性化の際、下流に存在するSH2をもつアダプター蛋白質であるShcの燐酸化をSykが起こすことを明らかにし、Shcを介してRas pathwayを活性化することを明らかにした。この報告はShcが様々なSykの様な非受容体型チロシンキナーゼによっても制御されていることを明らかにした報告である。(黒崎博士と共同研究) 4、マスト細胞RBL-2H3において抗原にてFcεR1を刺激した場合ホスホリパーゼA2の活性化並びにアラキドン酸の放出が起るが、この経路はMAPキナーゼ系とは独立している。しかしこの双方の経路においてSykが主要な役割を演じていることを明らかにした。即ちMAPキナーゼ系にはGDP/GTP exchange factorであるVavの燐酸化を介して情報を伝達している様である。アラキドン酸放出に関してはPLCγの燐酸化を介して活性化している。このようにマスト細胞の活性化において、Sykは極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。(Kinet博士と共同研究) 5、マスト細胞RBL-2H3において抗原にてFcεR1を刺激した場合、LynキナーゼがFcεR1を燐酸化しその受容体をクラスタリングさせ、その結果SykがFcεR1と結合する。そしてLynがSykを燐酸化し活性化させることを明らかにした。(Kinet博士と共同研究) 6、DT40細胞のSykのN末側及C末側のSH2のmutantを作成した。Sykそのものの2つのSH2についてその作用の違いについて検討した。Sykの活性化に依るカルシウム動員作用等において双方のSH2が必要であることを明らかにするとともに、S末側のSH2がより重要な役割を果たしていることをDT40細胞を用いて明らかにした。また自己燐酸化部位のチロシン残基を他のアミノ酸に置換するとSykの活性がほとんんどなくなることも明らかにした。(黒崎博士と共同研究)
|