研究課題/領域番号 |
05044171
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
春日 雅人 神戸大学, 医学部, 教授 (50161047)
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研究分担者 |
HOLMAN Geoff バス大学, 生物学部, 講師
WATERFIELD M ルードウィヒ癌研究所, 所長
横野 浩一 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (50144580)
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キーワード | PI3-キナーゼ / 膜ラッフル形成 / 糖輸送担体 |
研究概要 |
Waterfieldの研究室とはphosphoinositide(PI)3-キナーゼについて共同研究を行った。PI3-キナーゼは、110Kのcatalytic subunitと85K adaptor subunitからなっている。我々は共同研究の結果、この両サブユニットの結合部位を同定し、また110K subunitにはPIを燐酸化する能力のみでなく、アミノ酸のセリン、スレオニン残基を燐酸化する能力があることを見い出した。またこのPI3-キナーゼが各種のインスリン作用の中でどのような作用を伝達しているか調べるために110K subunitが結合しえない変異85K subunitを細胞内に大量に発現し、どのようなインスリン作用が伝達されないか検討した。その結果、PI3-キナーゼはインスリン作用の中でもインスリンによる糖輸送の活性化、膜ラッフル形成には少なくとも関与していることが明らかとなった。なお、このプロジェクトにはHolmanの研究室の協力を得た。今後PI3-キナーゼによる糖輸送活性化の機序に絞り、より詳細な共同研究を行う予定である。 Holmanの研究室とは糖輸送担体の構造と機能についての共同研究を行った。我々は糖輸送担体の中で全ての組織に存在していると考えられているGLUT1について、変異GLUT1を細胞に発現してその糖輸送活性を検討した。糖輸送担体にグルコースが結合すると“外向き"の構造から“内向き"の構造に変化してグルコースが細胞外から細胞内へ輸送されると考えられているが、我々はGLUT1の293番目に存在するチロシン残基、また385番目に存在するプロリン残基が糖輸送活性にとって重要であることを見い出した。なお、GLUT1の構造と機能については、現在もその他の変異GLUT1を作製中であり、今後より詳細な成績が得られることが期待される。
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