研究課題/領域番号 |
05044173
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
市川 佳幸 香川医科大学, 医学部, 教授 (60028355)
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研究分担者 |
山村 卓 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (20132938)
山本 章 国立循環器病センター研究所, 副所長 (00028408)
横山 信治 アルバータ大学, 医学部, 教授 (10142192)
大西 平 香川医科大学, 医学部, 助教授 (50211107)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | コレステロール逆転送系 / アポリポタンパク質 / 脂質転送蛋白質 / 脂質人工粒子 / ピレン-標識脂質 / 血管平滑筋細胞 / コレステロール引き出し / ディスコイダルHDL |
研究概要 |
コレステロールの逆転送系では末梢細胞から引き出されたコレステロール(FC)がHDL上でLCATによってCEへ変換されその後LTPによりリポタンパク質間で転送され最終的に肝臓へと回収される。平成2-6年度までの本補助金によりこのコレステロールの逆転送系について多くの新しい知見が得られた。特に脂質転送タンパク質(LTP)によるリポタンパク質間でのコレステリルエステル(CE)とトリグリセリド(TG)の輸送反応とLCAT反応について今年度も大きな進展があった。 LTP反応について前年度までに、脂質人工粒子およびピレン標識脂質(ピレンCE、ピレンTG)を用いたピレンの蛍光変化により脂質転送速度を測るという新たな手法を用いてLTPの各脂質に対する転送反応の特異性の違いが明らかにされた。脂質とアポリポタンパク質で再構成された人工粒子ではCEがTGよりはるかに選択的に転送されるが、アポリポタンパク質を粒子に深く埋め込めばこの違いが減少し血中のリポタンパク質と同程度になる。このことから、LTPの反応はアポリポタンパク質を必須とし更に脂質表面での存在様式が反応を制御していることがわかった。HDL、VLDLの主なアポリポタンパク質成分であるA-I、A-II、C-III、Eでは大きな違いはなかった。カイロミクロン、VLDLに含まれるA-IVについてはその生理的な役割がはっきりしておらず、LTP反応に関与しているという報告もあったのでこれについても今回調べた。精製されたA-IVは脂質粒子に対する結合性やLTP反応に対する促進効果、脂質選択性への影響とも他のアポリポタンパク質と大差がなくLTP反応に対する特別な意義は見いだせなかった。 ウサギより精製したLTPに対してモノクローナル抗体を調整したところLTP反応の内TG転送を特異的に阻害する抗体が得られた。この抗体のエピトープを解析することからLTPの脂質選択性に関する構造上の情報が得られると考えられる。そこでウサギLTPの発現系を作り、遺伝子工学的手法でこの抗体のエピトープを決定することを試みた。まず、ウサギ肝臓よりmRNAを調整しPCR法によりLTPのcDNAを増幅した。これをイ-ストの系で分泌型タンパク質として発現させた。培養上清中にはLTP活性と共に、抗体に反応するLTPタンパク質が確認された。今後デリーション、ミューテーションを用いた実験からエピトープを決定してゆく。 HDLによる末梢細胞表面からのFCの引き出しは単純な平衡によると考えられており、このためLCATがHDL上でFCをCEに変換しHDL表面のFC濃度を下げることがコレストロール逆転送系のドライビングフォースとなっていると考えられてきた。前年度までの研究で明らかになったように、アポリポタンパク質(A-I等)の添加でマクロファージからディスコイダルなHDLが産生されこれが細胞からコレストロールを引き出している。ここにLCATを添加し従来の仮説の妥当性を検討した。LCATの添加によりディスコイダルHDLのECは急速にCEへと変換されるが培養を続けても、引き出された総コレステロール量は変化しなかった。マクロファージとHDLを培養しコレステロールを引き出す系でも同様の結果で、LCATによるコレステロール引き出しの増加は認められなかった。LCATの効果はHDL中のFCとCEの比率を変化させ、このため、単純な濃度勾配によると思われるHDL中のRI標識FCのマクロファージへの移動をやや阻害しただけであった。以上よりLCATがコレステロール逆転送系のドライビングフォースとなっているという従来の仮説はそのままでは成立しないことが分かった。今後FC濃度が低下してもHDLが細胞から一層のコレステロールを引き出せない理由、さらにFCの細胞からの輸送が単純な濃度勾配ではなく何らかの特異的な機構を必要とするのかどうかという点について検討が必要である。
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