ステロイド代謝を触媒するチトクロームP-450とその関連酵素の構造-活性相関

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05044176
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 大村 恒雄 九州大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80029933)
• 研究分担者: ALEXEY A. Ch ベラルーシ科学アカデミー, 生物有機化学研究所, 研究員 ; SELGEY A. Us ベラルーシ科学アカデミー, 生物有機化学研究所, 教授 ; 根岸 正彦 米国国立環境衛生研究所, 研究員 ; 相良 康弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (60162319) ; 三原 勝芳 九州大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40029963) ; 原 孝之 中村学園大学, 家政学部, 助教授 (10164998)
• キーワード: ステロイドホルモン / チトクロームP-450 / 構造活性相関 / アドレノドキシン / P-450SCC

研究概要

本研究は、研究代表者を中心とする日本の研究グループと根岸博士の米国の研究グループ及びUsanov博士を中心とするベラル-シの研究グループの共同研究により、ステロイド代謝を触媒するP-450と関連酵素の構造-活性相関を解明することを目的とし、それぞれの研究グループで分担する研究は予定通り進められた。しかし、Usanov博士およびChernogolov博士の共同研究のための来日は外交上の手続きの遅れから予定通り進めることができず、平成6年3月にになってようやくChernogolov博士の来日が実現することとなった。
P-450については、ミクロソーム型P-450の膜への組み込みと高次構造形成について研究が進められ、シグナルアンカー配列のアミノ末端が小胞体の内腔に存在すること、シグナルアンカー配列に続くプロリンに富む配列が分子の高次構造形成に必須なことが確かめられた(大村、三原)。P-450分子内の特定のアミノ酸の変異により触媒する反応の基質特異性が大幅に変化することを確かめ、変異P-450の微生物での大量発現にも成功した(根岸)。ミトコンドリア型P-450に電子を供給するアドレノドキシンについては、分子内に部位特異的変異を導入したアドレノドキシンの大腸菌での大量発現を行ない精製してP-450との反応を検討した(原)。放射性同位元素で標識したアドレノドキシンを作り、P-450との結合の解析を行なった(Usanov)。
Usanov博士の研究グループは化学架橋試薬による蛋白質分子間の結合の解析など有機化学的研究手段に優れているので、Chernogolov博士の来日により大村、原との共同研究によりP-450とアドレノドキシンとの反応の解析が進められる予定である。

研究成果

• [文献書誌] Shin-ichrou Honda: "Ad4BP regulating steroidogenic P-450 gene is a member of steroid hormone receptor superfamily." J.Biol.Chem.268. 7494-7502 (1993)
• [文献書誌] Ken-ichirou Morohashi: "Activation of CYP11B gene promoters by the steroidogenic cell-specific transcription factor,Ad4BP." Mol.Endocrinol.7. 1196-1204 (1993)
• [文献書誌] Masatoshi Nomura: "Three forms of rat CYP11B genes:11B-hydroxylase gene,aldosterone synthase gene,and a novel gene." J.Biochem.113. 144-152 (1993)
• [文献書誌] Soh Yamazaki: "Importance of the proline-richregion following signal-anchor sequence in the formation of correct conformation of microsomal cytochrome P-450s." J.Biochem.114. 652-657 (1993)
• [文献書誌] Okura Shimozawa: "Core glycosylation of cytochrome P-450(arom).Evidence for localization of N terminus of microsomal cytochrome P-450 in the lumen." J.Biol.Chem.268. 21399-21402 (1993)
• [文献書誌] D.Schwartz: "Rotation of cytochrome P-450SCC(CYP11Al)in proteoliposomes studied by delayed fluoregeence depollarization." Biochem.Biophys.Res.Communs.195. 889-896 (1993)
• [文献書誌] Masao Sakaguchi: "Frontiers in Biotransformation,Vol.8" Topology and biogenesis of microsomal cytochrome P-450s., 253 (1993)
• [文献書誌] Tsuneo Omura: "Handbook of Experimental Pharmacology,Vol.105:Cytochrome P450" Localization of cytochrome P450 in membranes:mitochondria., 350 (1993)