研究課題/領域番号 |
05044179
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
雨宮 次生 長崎大学, 医学部, 教授 (60026862)
|
研究分担者 |
SARA Ben Jil Charles Nicolle Hospital 病理, 教授
OIERTANI Awe Charles Nicolle Hospital 眼科, 教授
大平 明弘 長崎大学, 医学部, 助教授 (00169054)
OUERTANI Amel meddeb Department of Ophthalmology, Charles Nicolle Hospital Professor
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
キーワード | 翼状片 / ベーチェット病 / ぶどう膜炎 / 成長因子 / 免疫組織化学 / 人種 / チュニジア / 日本 |
研究概要 |
翼状片は地中海地方に多い疾病として世界的に有名であるが、我国においては、九州、沖縄県地方に多い。 一方、ベーチェット病は、地中海沿岸諸国と日本に多いことが広く知られている。 本研究は、地中海地方に多い眼疾患として翼状片とベーチェット病をとりあげ、これら二疾患が我国にも多いことに着目し、両国間でその臨床像に差がないか否かを調査し、治療と予防に役立てることを目的とした。 平成5年度には、チュニジアにおける翼状片とベーチェット病の患者を、主としてCharles Nicolle病院眼科、Ouertani教授を中心に集め、診察して臨床像を記録した。また、日本側から研究代表者雨宮がチュニジアに派遣され、翼状片患者から翼状片組織の採取と、翼状片とベーチェット病患者の診察が行われ、日本における両疾患の臨床像との比較を行った。 一方、長崎においては、長崎大学附属病院眼科を中心に、広く長崎県下より翼状片とベーチェット病患者を集め、診察と調査が行われた。 両施設ともに翼状片について約50例の患者についての臨床所見をえ、ベーチェット病については、チュニシアで約40症例、長崎大学において約20症例の臨床データをえた。また、翼状片の病理標本は、チュニジア人患者から3例、日本人患者から23例をえた。 平成6年度は、平成5年度に引き続いて両施設において翼状片とベーチェット病患者の診察と臨床所見の蓄積が行われた。しかし、両国間の臨床所見の解釈については、チュニジア人患者については日本人医師が、日本人患者についてはチュニジア人医師が実際に診察して、誤解を避ける必要を感じた。そのため、本年度は、チュニジアより外国人研究分担者Ouertaniを日本へ派遣し、長崎大学医学部附属病院眼科において、翼状片とベーチェット病の日本人患者を診察させた。また、研究代表者雨宮、日本側研究分担者大平、チュニジア側研究分担者Ouertaniの3人が集って、日本とチュニジアにおける翼状片とベーチェット病の臨床像の相違について討論した。 平成7年度は、日本とチュニジアにおける翼状片とベーチェット病の臨床像の相違についての討論をふまえ、不足症例を両国で補充するとともに論文としてまとめた。論文については研究発表欄参照。 結果の要旨は以下の通りである。 翼状片は、日本では出血性のものは極めて少なく、中年以降に多いのに対し、チュニジアでは、出血性翼状片が多く、若年から中年の者に多い傾向があった。 ベーチェット病はチュニジアにおいて重症例が多く、失明率が高かった。また、チュニジアでは眼底出血を来たす網膜血管障害例が多い傾向があった。 翼状片について、4種の増殖因子を免疫組織化学的に検索した。翼状片では、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、腫瘍化増殖因子が、翼状片の上皮、血管内皮、線維芽細胞等に強く存在したが、対照としての正常結膜では、腫瘍化増殖因子、血小板由来増殖因子が弱かった。これは、翼状片発症に、これらの増殖因子が相互作用を及ぼしていることを示唆する。この結果は、以後の病理学的研究の基礎的データとなるものである。 更にチュニジアに特徴的な出血性翼状片の採取のために、研究代表者雨宮をチュニジアに派遣し、36症例の標本を採取した。同時にチュニジアにおける翼状片とベーチェット病患者を診察し、両国間の相違についての論文をまとめるために、研究分担者Ouertaniと討論した。
|