研究概要 |
1.ラットマスト細胞のECM接着性 ラット好塩基球性白血病株RBL-2H3はフィブロネクチン(FN)、ビトロネクチン(VN)に強く接着するが、ラミニン(LM)、コラーゲン(CL)には接着しない。一方ラット腹腔マスト細胞(RPMC)は未刺激では、いずれのFCMとも接着しないが、短時間(37°,30分)のPMA刺激によりFN,VN,FBに強く接着する他、LMにも弱く接着した。この結果は、未刺激のT細胞と同様に未刺激のマスト細胞上のECM受容体インテグリンは非活性型で存在し、PMC等による細胞の活性化により活性型に転換する親和性の調節機序がマスト細胞上へも存在することを示す。 2.ラットマスト細胞上のFN受容体の発現 FN受容体として働くインテグリンとして、VLA-3,4,5が知られているがFACS解析によりRBL-2H3,RPMC上にVLA-4,5,VNRの発現が確認され、特にVLA-4とVNRの三者を介してFNに接着していることが示唆された。 3.FNへの接着によるラットマスト細胞活性化の調節 FN,CL,或いは、BSAをコートしたプレート上でIgEを結合したRBL-2H3細胞を抗IgE抗体より活性化すると、FNをコートしたプレート上ではCL,BSAに比して著明な脱顆粒をみとめた。この増強効果は、VLA-4,FNの接着阻害するCS-1ペプチド,VLA-5,RGDペプチドで阻害された。また抗VLA-4抗体によっても阻害された。
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