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1993 年度 研究成果報告書概要

フラクタル破壊力学及び地殻応力評価に基づく地下き裂のキャラクタリゼーション

研究課題

研究課題/領域番号 05044197
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
研究機関東北大学

研究代表者

高橋 秀明  東北大学, 工学部, 教授 (10005267)

研究分担者 SAMMONDS Pet  ユニバーシティカレッジロンドン, 地球物理学部, リサーチフェロー
GLOVER Paul  ユニバーシティカレッジロンドン, 地球物理学部, リサーチフェロー
渡辺 公雄  東北大学, 工学部, 学振特別研究員
高安 美佐子  東北大学, 工学部, 学振特別研究員
佐藤 一志  東北大学, 工学部, 助手 (80235324)
土屋 範芳  東北大学, 工学部, 助手 (40207410)
橋田 俊之  東北大学, 工学部, 助教授 (40180814)
高安 秀樹  東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00183062)
林 一夫  東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
松木 浩二  東北大学, 工学部, 教授 (10108475)
MEREDITH Phi  ユニバーシティカレッジロンドン, 地球物理学部, リーダー
研究期間 (年度) 1993
キーワード破壊 / フラクタル / 地下き裂群 / 数値シミュレーション / 地殻応力 / 透水性 / 連結確率 / 岩石
研究概要

本研究は、理学の分野で地球科学への応用として試みられてきたフラクタル幾何学の地下き裂群評価への応用と工学の分野で地熱開発への応用を目指して整備されてきた岩石破壊力学および地殻応力計測学を融合させ、新しい地下き裂群のモデル化手法の開発を目的とする。
研究課題ごとに本年度の研究実績の概要を以下にまとめる。
(1)岩石破壊のフラクタル評価に関する実験的研究
日本側研究グループでは岩石の圧縮破壊試験を行い、破壊過程におけるAEの変化の測定を行った。この実験により、岩石破壊時のAEは応力-ひずみ線図が非線形挙動を示す部分から徐々に増加し、b値は破断直前に急激に小さくなることが明らかとなった。一方、英国側研究グループでは、岩石のダブルトーション破壊試験を大気中および水中で実施し、AEのb値は応力拡大係数に比例することを示した。また、水の存在は応力腐食割れを促進させ、b値を小さくさせることが明らかとなった。さらに、破断後の試験片上のき裂群分布を観測することにより、き裂の大きさ分布のフラクタル次元とAEのb値が比例関係にあるという事実が得られた。
(2)破壊モデルの構築とコンピュータシミュレーション
岩石の不均一性を考慮した平面格子破壊モデルの構築を行った。このモデルを用いて岩石CT試験片の破壊シミュレーションを行った。破壊過程における各要素の破断よりAEの発生を定義し、その測定を行った結果、実際の岩石圧縮試験時に観測されたと同様に、破岩直前でAEのb値は急激に小さくなった。また、各要素の連続的なつながりをき裂の大きさと定義し、破断後のき裂の大きさ分布を観測した結果、フラクタル的な分布であるということが明らかとなった。これらのことより、平面格子モデルは岩石破壊のフラクタル性を模擬できることが実証された。
(3)地下断裂系の三次元モデル化とフィールドにおける検証
地下のき裂群の三次元的な形状は現在のところ知られていない。しかしながら、地下き裂群は様々なフラクタル的な特徴を持つことが明らかとなっている。そこで、フラクタル幾何学を元に、地下き裂群の三次元モデルの構築を行った。具体的には、フラクタル的な大きさ分布を持つ円盤状き裂群を三次元空間に分布させることにより、地下き裂群のフラクタルモデルを作成した。実際に得られるの地下き裂群の情報は一次元的なボアホールデータ、あるいは地表面や坑壁の観測による二次元データである。そこで、三次元フラクタルき裂群モデルに、スッキャンラインおよびスキャンプレーンを定義し、それらから得られる一次元および二次元データを実際のき裂群の観測と比較した。この結果、両者にはよい一致が見られ、三次元フラクタルき裂群モデルの妥当性が証明された。
(4)地殻応力計測
地殻応力下におけるき裂の隙間分布を支配するき裂面の粗さ特性、き裂の接触剛性、滑り変位量およびき裂面に働く有効垂直応力などの関係を実験的に明らかにした。また、き裂の通水特性のその表面形状からの評価を実施した。
(5)地下断裂系の連結性評価
本研究の高温岩体発電への応用を考えた場合、地下き裂群の透水性の評価が極めて重要となってくる。高温岩体発電は2本の坑井を介した流体の循環システムを想定しているため、両坑井間の透水性、すなわち両坑井の地下き裂群による連結性が問題となる。そこで、前述の三次元フラクタルき裂群モデルを用いて2本の坑井の連結性の評価を行った。具体的には乱数の系列を変えた複数個のモデルに対してモンテカルロシミュレーションを実施することにより、2本の坑井の連結確率を求めた。この結果、連結確率は地下のき裂密度の関数として得られ、あるき裂密度に達したときに連結確率は急激に増加することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] K.Watanabe and H.Takahashi: "A Model Analysis of Long-term performance of Hot Dry Rock Geothermal Energy Extraction System" Proceeding of the JSME-ASME International Conference on Power Engineering '93. 1. 453-458 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] G.C.Hatton,I.G.Main and P.G.Meredith: "A Comparison of Seismic and Structual measurements of Scaling Exporents during tensile subcritical Crack Growth" Journal of Structural Geology. 15. 1485-1495 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] K.Watanabe and H.Takahashi: "A Model Analysis of Long-term performance of Hot Dry Rock Geothermal Energy Extraction System" Proceeding of the JSME-ASME International Conference on Power Engineering '93. 1. 453-458 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] G.C.Hatton, I.G.Main and P.G.Meredith: "A Comparison of Seismic and Structural Measurments of Scaling Exponents during teusile Subcritical Crack Growth" Journal of Structural Geology. 15. 1485-1495 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1995-02-07  

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