研究分担者 |
WENZ Sharon 米国テネシー大学マーチン校, 環境学部, 助手 早期療育センタ
GREGORY Barb 米国テネシー大学マーチン校, 教育学部, 講師
KENDALL Robb 米国テネシー大学マーチン校, 教育学部, 教授 副学部長
松下 清子 弘前大学, 教育学部, 助教授 (20125462)
豊嶋 秋彦 弘前大学, 教育学部, 教授 (60113817)
KENDALL-MELTON Robbie School of Education, The University, of Tennessee at Martin, Professor
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研究概要 |
(1)早期療育とトランジション制度(進路選択の保障制度)を中心とした日米の比較研究-テネシー大学マーチン校(UTM)の早期療育センター長であるSharon L.Wenzは,日本の早期療育制度について次のような勧告をした。全国的な早期療育システムの確立に既存の公衆衛生制度を充実させて教育と医学の連携をはかること,障害の判定基準を明確にして対象者の選定を妥当なものとすること,子どもの障害発見のための広報活動を活発化し,照会手続きをわかりやすいものにすること,家庭が専門家の助言を受けられるセンターの設置等である。Dr.Barbara A.Gregoryは,UTMでは学習障害のある学生に対する総合的支援プログラム(P.A.C.E.)を作成し,学生,両親、高校及び大学のトランジション専門職員等が協力して実施していること,また自分の障害の理解や学習への影響の理解能力,必要な設備の認識,法律上の市民権の知識,職場や学習の場で自分に必要なものを伝える技能,等の4つの適切な基礎的トランジションの技能は,特に学習障害の学生には重要であることを紹介した。また,これら4つの基礎技能が14歳以前の早い段階で指導されることが高校卒業後の成功にも結び付くと述べた。 (2)統合教育と体育指導-松下は障害児の障害の種類や程度の影響をなるべく少なくした一種の「スポーツテスト」として静的動作20種目を選択編成し,弘前市内2つの養護学校の協力を得て,児童生徒に実施した。アメリカでの障害児調査は,様々な理由から困難だったため,UTMと弘前大学の学生を対象にほとんど同じ種目による自己評価方式で静的動作調査を行い,日米比較を行った。 (3)統合教育に関する日米の教員の意識・態度調査.及び知識・技能の自己評価調査の結果の検討と提案-平成5年度に日米の大学,及び附属学校の教官を対象に行った統合教育に対する意識及び自己効力調査の結果が次のとおりである。Dr.Kendallの意識調査の比較では,米国の教師の方が日本の教師より,統合教育に好意的であり,事務量や仕事が増えるが,障害児の地域社会や普通の子ども達との交流を援助し,公立学校では通常学級で障害児を教育すべきだと考えている。自己評価調査の結果,日本の多くの教師は障害児に関する知識や技能を身につけたいと考えており,行政職も含めた現職教育の必要性を示している。また自己効力の
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レベルは日本人教師の方がアメリカ人教師より有意に高く,従って自己効力が障害児を通常学級に受け入れることを決定するための重要な要因ではない点が,米国の教師とは異なっていた。 豊嶋は,日本(弘前大学教育学部)の教員・学生及びテネシー州教師からえた「障害児と統合教育に関する態度」の資料を分析し、日本教員における校種(養護学校等・普通学級・大学)別の微妙な態度差を検出した他,次の知見を得た。(1)日本教員の態度は学生と同様の因子構造をもち統合教育への一般的理念的賛意も学生と同水準であるのに,統合教育の困難性と障害児の学級適応とへの危惧,教師の重荷感が学生よりも強い。(2)テネシー州教師は全般に一般的理念的賛意が強い一方で障害児の適応に関する危惧も強く,理念性とリアルな現実認識の共存が示唆されたが,一般的理念的賛意は日本普通学級教員が彼らに近い態度を持つのに対して,危惧・リアルな現状認識は日本養護学校教員が彼らに近かった。 4)学校保健との関連-加来は1975年の全障害児教育法(P.L.94-142)制定後にはスクールナ-スの採用数が増えており,TEISや統合教育実施校において,障害児のニーズに応え,支援する専門的スタッフとして重要な役割を果していることを把握した。 (5)学会発表-主なものは次のとおりである。 (1)KAKU Kazuko : Integrated Education in Japan and the USA-A Study on Educational Conditions That Ensure Children's Development,XVth World Conference of the International Union for Health Program and Education,August 24,1995, (Makuhari,Japan) (2)Robbie Kendall-Melton,Kazuko Kaku,et al. : Collaborative Research between the USA and Japan in Improving the Education of Students with Disabilities : Findings and Recommendations,13th International Conference of the International Council for Innovation in Higher Education,October 31,1995, (Lisbon,Portugal) 隠す
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