ソシュール言語学とロマンス言語学

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05045007
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 菅田 茂昭 早稲田大学, 語学教育研究所, 教授 (10063570)
• 研究分担者: RONCAGLIA Au ローマ大学, 文学部, 教授 ; DE Mauro Tul ローマ大学, 文学部, 教授 ; 小畑 明 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60063418)
• キーワード: 言語学 / ソシュール / 語形成 / ロマンス言語学 / イタリア語 / 少数派ロマンス語 / サルジニア語 / 基礎語彙

研究概要

早稲田大学・ローマ《ラ・サピエンツァ》大学間交換協定〔昭和61年締結〕に基づく共同研究計画(言語学部門およびロマンス言語学部門)を継続・発展させることに努めた。
ソシュール言語学部門:1.ローマ大学T.デ・マウロ教授とともに、ソシュール言語理論の現代性を追求する共同研究を継続した。研究代表者の研究テーマのひとつである語形成に関して、今年度は生成形態論学者たちが指摘する、形態素の概念をめぐる論点が、すでに『講義』の別の弟子のノート(Engler版)にみられることが、ソシュールの現代性を支える新しい発見となった。2.ソシュール国際シンポジウム('92.早稲田大学)の『論文集』の校正も終え、1995年夏出版(ローマにて)される予定である。3.当研究計画にて招へい予定のデ・マウロ教授が国際交流基金により来日されたが、「多言語性とこんにちの言語学」と題する講演('95.3.13於早稲田大学)とともに、多言語の存在理由を検討する機会を得た。
ロマンス言語学部門:1.ローマ大学A.ロンカリア教授とともに、第21回国際ロマンス言語学会('95)における研究発表者の研究発表の準備のほか、ロマンス言語学方法論の改善のために少数派ロマンス語に関する国際会議の開催計画(於早稲田大学)についても検討した。2.少数派ロマンス語の現地調査においては、15年前から取組んでいるサルジニア語の基礎語彙を最終的に検討し、出版('94.12)した。さらに人称不定詞の調査も開始した。
なお、両研究部門に関し、新しい研究資料の収集を継続した。

研究成果

• [文献書誌] 菅田茂昭: "バルトリ生誕120年と空間言語学" 日本ロマンス語学会:ロマンス語研究. 27. 73-80 (1994)
• [文献書誌] Aurelio Roncaglia: "Linguistica storica e filologia romanza" Atti dei convegni Lincei. 94. 183-195 (1992)
• [文献書誌] Aurelio Roncaglia: "Ecci venuto Guido 'n Compostello?" O cantar dos trobadores (Xunta de Galicia). 11-29 (1994)
• [文献書誌] 菅田茂昭: "サルジニア語基礎語彙集" 大学書林, 180 (1994)
• [文献書誌] 菅田茂昭(共編): "公開講座:ロマンス語 「ロマンス語の形成とイタリア語」(分担執筆)" 早稲田大学 語学教育研究所, 164 (1994)
• [文献書誌] 小畑 明(共編): "公開講座:ロマンス語 「ル-マニア語の歴史」(分担執筆)" 早稲田大学 語学教育研究所, 164 (1994)
• [文献書誌] Tullio De Mauro: "Capire le parole" Laterza (ローマ), 178 (1994)
• [文献書誌] Tullio De Mauro Shigeaki Sugeta: "Saussure and Linguistics today" Bulzoni (ローマ),(6月出版予定), 210 (1995)