研究課題
1.本年度は、日本側から2名英国に派遣し、刑事司法に関連する各種機関の実務に関わる者に面接して聞き取り調査を行った。また、同時に関連資料を研究集会参加などによって収集した。さらに、英国側研究分担者や協力者の援助を得て、今後の研究協力者を開拓することができた。2.英国では、法学者、法廷弁護士などからの聞き取りの他に、研究集会へ参加して刑事事件の処理をめぐる英国における新たな動向に関する情報を入手した。3.英国からの協力者を招聘して研究を一層深めるために民間の研究助成金確保に努力し、1993年9月から10月にかけて日英の刑事事件処理の新たな動向に関して研究集会を開くことが出来た。これには、新潟大学法学部助教授(英国人法廷弁護士)も参加して共同研究集会とすることが出来た。また、刑事司法では重要な役割をもつ法廷弁護士養成に関する情報交換も行った。4.こうした作業を進めることによって、英国刑事司法の実務段階での様々な問題を把握することが出来た。とりわけ、刑事司法の中心となる法律家養成に関する基礎資料を面接や機関訪問によって得られたことは収穫であり、かつ、英国における協力者のネットワークを作ることが出来たので、今後の研究に有益となった。また、このネットワークには、現在新潟大学法学部の英国人助教授も今後入ることにより、一層円滑な情報交換システムを発展させることが可能となった。5.また、刑事司法における裁判外の紛争処理など新たな分野に関する意見交換を、具体的な実務のレベルにおいてすることが出来たのも有益である。