研究課題
土屋、浜田、野尻三名によるオーストラリアの調査は、クィンズランド大学の学長、副学長、経済学部長、Dr.Riethmullerなどの全面的な協力を得て、期待していた以上の成果をあげることができた。これらの研究成果は別記のように公表ずみのもの、また公表予定のものもある。新たに得られた知見を列記すると次の通りである。(1)オーストラリアの肉牛コンピューター利用取り引きでは、クィンズランド州中部、北部の遠隔地では、肉牛価格を安定させる唯一の手段であるが、高級牛産地では銘柄表示が不十分で、「超過利潤が得られず、現金がすぐ入手できない」と言う批判がある。(2)オーストラリアの砂糖産業は、輸入自由化、関税率の引き下げなど、自由貿易に直面しつつある。これに対処するためサトウキビ生産者と精糖工業との垂直的統合、リストラクチュアリング、砂糖輸出の一元化がなされている。(3)オーストラリアにおける貨物輸送産業の構造は、少数の巨大企業が多数の弱小零細企業を支配する寡占型市場となっている。また、1950年代から物流業に対する経済的規制の緩和化は多くのメリットがある反面、参入の容易性と退出の困難性、道路の安全問題、コスト問題など、いくつかの課題も顕在化している(4)日本の食品産業の外国投資、日本の消費者のブランド嗜好、アメリカの対日経済圧力などにて、日本ではオーストラリア産よりアメリカ産食品が多く輸入され、日本の食品輸入にしめるオーストラリアのシェア-は減少している。(5)オーストラリアの食品産業は零細であり、大規模産業は外国資本である。また政府からの補助もない。(6)オーストラリアの食品産業は現在、原材料を輸出している。垂直的統合を進め高付加価値食品を輸出すべきである。ことなどが明らかになった。
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