研究課題
本調査は稲作の収穫時期の関係で、事前に文部省の許可を得て、1994年4月から5月にかけて実施した。調査は綿密な計画のもとに、全てアポイントメントをとって実施したので、期待以上の成果をあげ、別記のように国際学術研究雑誌、オーストラリア研究専門誌、新聞などに研究成果の一部を公表した。それらを要約すると、次のようになる。1.オーストラリアのスーパーマーケットにおける食料雑貨品のうち、クロワッサン、ロールパンなどの価格変動は大きく、野菜缶詰の価格変動は小さい。また、一般的にはスーパーマーケットにおける価格変動、消費者支出、価格弾力性は、相互に余り関連していない。これはスーパーマーケットの販売戦略が全体の売上高を最大にするために、価格設定を行い、個々の商品の売上高を最大にするものではないからである。2.オーストラリアにおける米の生産と輸出は1980年代に急増し、日本の緊急輸入もあって、過去最高となった。稲作地帯では、夏の気温は40度を超え、病害虫が少ないなど、気候条件に恵まれている。灌漑システムが整備されていることに加え、有畜複合経営による輪作で、生産コスト低減を果たし、オーストラリアの米は、アメリカやタイに比例して国際競争力が強い。3.オーストラリアからの輸入牛肉は、1994年には、92年と比較して62%増大したが、これらの大半はオーストラリアで操業している日系企業のフィードロットにて生産され、日本に輸出されている。日本の肉牛農家はオーストラリアからの輸入牛肉に対処するためには、規模拡大、高付価値低コスト生産、安全性や環境保全などの重視が必要となる。
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