研究課題
国際学術研究
(1)第一の研究は、日本政府による食品流通に関する規制緩和によって、日本の食品流通が如何に発展したかを明らかにしようとした。日本における経済的、社会的変化とともに、外国からの日本市場開放要求が、日本政府をして、大規模小売り店舗規制法(大店法)を含む政府規制を緩和させた。これらの規制緩和は、日本の経済や、社会における変化とともに、日本におけるスーパーマーケットの数を増大させた。また、コンビニエンス・ストアやミニ・スーパーマーケットの数を増大させた。その結果、最近数年間日本の食品流通システムは著しく進展した。(2)オーストラリアでは、オーストラリアの食品は高品質、クリーン、安全であるとの国際的な評価を高めるために、食品のクリーンフ-ズ販売促進計画を立てている。本研究は次の2点から、この販売促進効果について、明らかにしようとした。まず第一にオーストラリア食品が"クリーン"であるとの宣伝が効果があり、日本の食品市場に参入できるか否か。第二は、オーストラリア食品が日本市場により参入するための方策は何かである。この研究目的を達成するため、日本の食品産業関係者に対する面接調査を行い、また日経テレコム・データー・ベースを利用して分析した。本研究によれば、日本でのオーストラリア食品の販売促進宣伝はあまり有効ではないことが明かになった。(3)外国人で日本において、マーケッテングの研究を志す者は、彼らの母国にて、熟知しているマーケッテング研究の諸問題とは異なる局面に遭遇する。外国人研究者は、外国人と異なった言語、外国人特有の考え方、日本人が外国人に対して持つ異なった役割の期待、外国とは異なった日本のビジネスや社会の慣習の欠如等の諸問題に対応しなければならない。日本では公刊されている情報や政策の達成状況などの情報入手に予期せざる困難がつきまとう。この結果、外国人研究者は日本では意図的に知らしていない計画があって、それが終結しつつあると考えられやすい。上記の諸問題があるため、日本でマーケッテング研究用資料を大量に収集するには、いかなる対策が必要であるかを、充分に検討しなければならない。(4)本研究は、オーストラリアの砂糖産業の現状を、生産の合理化と組織化を基盤とした輸送と販売の局面に焦点を合わせ、市場の変動の中でどのように価格設定を行い、とりわけ激変する世界市場に対してどのように適応しようとしているか、明らかにしようとした。分析の結果、オーストラリア砂糖産業の発展の背景には砂糖生産の全体にわたる、徹底した合理化と組織化の過程がある。サトウキビを栽培する農家は、ほとんど全面的に粗糖工場と垂直的に統合されており、この粗糖工場も相互に生産調整を続けるとともに、効率と立地の観点から工場の配置転換などの再編成を行っている。さらに、粗糖の輸送と販売は、高度に集中されていて、特に輸出は全面的にこの集中化された輸送と販売のルートを通じて行われている。オーストラリア連邦政府とクィーンズランド州政府による一連の法的措置、及び研究開発の体制もまた、こうした合理化・効率化と組織化を推進するうえで、きわめて大きな役割を果たしている。(オーストラリア砂糖産業の実態調査は1993年に行われた、1993年に収集した資料及び、1995年新たに収集した資料をもとに、綿密な研究が行われ、報告は本年度完成した)(5)1995年、「農産物の需要と生産の長期見通し」が閣議決定された。これは日本の将来の農業政策の策定に重要な要因となる。そこで、本研究はこの長期見通しのうち、「牛肉の需要と生産」に焦点を合わせて、問題点を指摘し分析した。分析の結果、明らかになった点は、「長期見通し」では、肉用牛の飼養頭数は飛躍的に増大すると見込まれているが、これには政策的支援が必要となり、また、ふん尿処理が問題となる。ふん尿の合理的な土壌還元のためには、肉用牛一頭当たり20a程度の使用畑面積が必要で、このため、約18万haの飼料面積が必要となる。それには単収の向上、省力化、肥培管理の効率化などの技術革新が必要となる。
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