「東アジア経済圏」をめぐる日米関係

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05045018
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 関 寛治 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (40012968)
• 研究分担者: WAPNER Paul アメリカン大学, 国際関係学部, 助教授 ; TAMAMOTO Mas アメリカン大学, 国際関係学部, 助教授 ; RICHARDSON J アメリカン大学, 国際関係学部, 教授 ; LEE James アメリカン大学, 国際関係学部, 助教授 ; GOODMAN Loui アメリカン大学, 国際関係学部, 学部長 ; 堀田 牧太郎 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70137941) ; 西口 清勝 立命館大学, 経済学部, 教授 (20039465) ; 唐沢 敬 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60149789) ; 井手 啓二 立命館大学, 経営学部, 教授 (50066718)
• キーワード: 華南経済圏 / 外向型経済発展 / アジアNIES / 中国の改革・開放政策 / ベトナムのドイモイ政策 / 環境保全型発展モデル

研究概要

本研究の目的は、冷戦終結後のアジア太平洋なかでも近年地殻変動といってもよい劇的な変化が相次いで生起している東アジア地域に焦点を絞り、平和・安全保障、国際経済関係、開発と環境、社会構造変化等の諸側面に関する調査をふまえた上で、90年代の東アジアに対する日米のあるべき政策協調ついて、アメリカン大学と共同で研究することにある。本年度は、「東アジア経済圏」のサブ経済圏である「華南経済圏」に関する実態調査をおこなった。その主要な内容は以下の通りである。(1)域内取引比率の上昇から「東アジア経済圏の自立性を導き出すことは正しくなく、米中貿易・経済関係の重要性を軽視するものであること。この点は、台湾、香港での研究者並びに企業家の証言からも明らかである。(2)目覚ましい経済発展に伴って環境破壊が深刻の度を増し、しかも十分な対策がなされていないこと。この点は、アジアNIESといわれる台湾、香港よりも中国の方が深刻であり、「外向型経済発展」にかんする学習効果が不十分であること。(3)ベトナムのドイモイ政策が、その本質において中国の改革・開放政策と類似の性格を持っており、その今後の経済発展の見通しが明るいこと。またアメリカが対ベトナム経済制裁を転換すると予想されること(この点は、その後現実のものとなった)。以上の実態調査の結果をふまえて、第1回日米セミナーに臨んだ。アメリカン側の関心は高く、環境保全型経済発展モデル(開発と環境の調和)について今後一層共同研究を深めることになった。

研究成果

• [文献書誌] 関 寛治: "“Prospects for Post-Cold War Security in East Asia:The Alternat Paradigm of Global Theory"paper presented at-US Seminar at the American University, October 1993."
• [文献書誌] 井手 啓二: "ポーランドにおける経済体制転換と私有化(田中雄三編『脱社会主義経済の現状』リベルタ出版)" (1994)
• [文献書誌] 井手 啓二: "(翻訳)体制転換期におけるハンガリー農業のジレンマ" 立命館経営学. 32-4・5. (1994)
• [文献書誌] 唐沢 敬: "現代社会と石油" 石油技術協会誌. 58-4. 271-276 (1993)
• [文献書誌] 唐沢 敬: "不均衡と成長の世界経済" 石油文化. 41-10. 4-8 (1993)
• [文献書誌] 唐沢 敬: "“High Economic Growth and Energy-Enviromental Issues of East Asia:Their Impact on Japan-US Economy"" 立命館国際研究. 6-3. 252-258 (1993)
• [文献書誌] 西口 清勝: "「90年代の日本経済と東アジア経済圏」" 立命館経済学. 42-2. 32-55 (1993)
• [文献書誌] 西口 清勝: "「書評:世界銀行『東アジアの奇跡-経済発展と公共政策』」" 立命館経済学. 42-5. 74-86 (1993)
• [文献書誌] 関 寛治: "国際法外交辞典" 三省堂, (1994)
• [文献書誌] 西口 清勝: "アジアの経済発展と開発経済学" 法律文化社, 214 (1993)
• [文献書誌] 森野勝好・西口清勝編: "発展途上国経済論" ミネルヴァ書房, (1994)